IoTの取り組みでは、センシングしたデータをクラウド上のIoTプラットフォームに集約するだけでなく、IoTプラットフォームからIoTデバイスの監視や制御を行う。この際、インターネット経由で接続することは、送信されるデータのほかデバイスやデバイスに接続している企業側の設備がインターネットからの脅威に晒される恐れがある。
そこで、株式会社インターネットイニシアティブ(以下、IIJ)が、IoTデバイスからネットワーク、デバイスの監視や制御等を行うプラットフォーム、セキュリティ、クラウド環境まで、IoTシステムに必要な機能をワンストップで提供する「IIJ IoTサービス」では、データやシステムのセキュリティを確保するため、IIJの閉域網を用いたコネクティビティ機能を提供していた。
しかし、昨今のIoTビジネスの拡がりに伴い、企業が自社で持つ回線や海外の現地回線を利用したいといったニーズも多くなってきた。
このほどIIJは、IIJ IoTサービスにおいて、コネクティビティ機能を拡充し、IoTデバイスとIoTプラットフォームをインターネットVPNでセキュアに接続できる「VPNアクセス」の提供を開始した。
VPNアクセスでは、管理者は専用のコントロールパネルを通じてVPNアクセスの接続プロファイルを作成することができる。その認証情報にもとづいて、IoTデバイスはリモートアクセスVPNでIoTプラットフォームに接続し、各種機能を利用できるようになる。接続プロファイルはデバイスごとに作成・削除でき、IoTデバイスごとにコネクティビティを管理できる。
また、IIJが提供するネットワークサービスのほか、Wi-Fi環境や他社モバイルサービス、海外の現地回線など、回線の種別問わず、IIJ IoTサービスプラットフォームの各種機能を利用できる。例えば、海外に設置したIoTデバイスを日本から遠隔で管理することも可能になる。
リモートアクセスVPNは、軽量かつ設定が容易でIoTデバイスにも適したVPNソフトウェア「WireGuard」と、産業用コンピュータとして多く利用されるWindowsPCに標準搭載されている「L2TP/IPsec」の2つの接続方式に対応しており、安全な暗号化通信が可能だ。
VPNアクセス機能を利用することで、インターネット接続環境をもつIoTデバイスなら、IIJ以外のモバイル回線、Wi-Fi環境、海外の現地回線などを使ってインターネットVPNで、セキュアにIIJ IoTサービスのプラットフォームに接続、利用できるようになる。
例えば、工場内のPC、ゲートウェイ機器からVPN接続することで、本社などの遠隔地から工場内設備に対してデバイスリンク機能(※1)を利用したリモートアクセスが可能だ。また、工場内に既設のインターネット回線があれば、同回線を利用して工場設備からVPN接続を行うことで、WISE-PaaS IIJ Japan-East(※2)に閉域網でデータ送信が可能だ。
※1 デバイスリンク機能:IIJ IoTサービスの一機能で、遠隔地に設置したIoTデバイスにリモートアクセスし、設定変更やソフトウェアのインストールなどが行えるもの。
※2 WISE-PaaS IIJ Japan-East:グローバルに展開している台湾ADVANTECHの産業向けプラットフォーム「WISE-PaaS」にIIJのセキュアなネットワークとクラウドサービスを組み込んだもので、工場設備から様々なデータをリアルタイムに収集し、設備やラインの状況を可視化する。
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