京都大学 大学院情報学研究科の原田博司教授の研究グループ(以下、京都大学)と株式会社日新システムズは、国際無線通信規格「Wi-SUN FAN(Field Area Network)」を用いた無線機の大規模高密度環境における通信試験として、京都大学構内に400台の無線機を設置し、全無線機の自律的なマルチホップネットワーク構築の確認および通信試験を行うことに成功したことを発表した。
今回行われた通信試験では、スマートシティでのセンサネットワークとして利用されるケースを想定し、「Wi-SUN FAN」無線機400台を、京都大学構内68,000 ㎡の範囲で、任意の位置に高密度に設置した。
各無線機は、複数の建物の影や奥側になる場所にも配置したが、「Wi-SUN FAN」の自律的マルチホップネットワーク構築機能により、障害となる建物を迂回するようなネットワークが自動的に構築され、範囲内に設置された全ての無線機がネットワークに収容されることが確認された。
また、この構築されるネットワークは設置環境に合わせ、通信成功率を向上させるよう各無線機が考え、ネットワーク構成を変化させていることも確認。
この機能により、都市部でセンサネットワークを構築した際に、新しい建物の建築や街路区画の変更などの無線経路に大きな影響があるような変化が起きても、その変化に応じた無線マルチホップネットワークを自動的に構築することが可能となる。
2日間を超える実証試験期間中、全ての無線機から30分、15分、5分間隔でのデータ送信を行わせ、既に実施済みの屋内環境での1,000台大規模実証とほぼ同様の通信成功率97.1%以上の結果を得ることに成功した。
この結果により、市街地や住宅地、集合住宅などでも、「Wi-SUN FAN」の自律的マルチホップネットワーク構築機能が有効に働くことが実証でき、今後、次世代スマートメータやスマートシティでの実用化に目途が立ったとしている。
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