近年、地震・豪雨などの自然災害や、インフラ設備の老朽化などの課題に対し、ドローンやAI、IoTやロボットなどの活用が期待されている。
しかし、これらの災害やメンテナンス現場では、地形変化と作業進捗の状況により、現場が変動的であるため、電源とバックホール回線など通信手段の確保が困難であった。
そうした中、日本電気株式会社(以下、NEC)、国立大学法人東京大学大学院工学系研究科(以下、東京大学)、NECプラットフォームズ株式会社は、ローカル5Gの基地局・5Gコア・マルチアクセスエッジコンピューティング(以下、MEC)を一体化した、移動・自律運用可能な通信ソリューションの実証機を共同で開発した。
今回開発された実証機は、ハンドキャリーが可能な防水防塵ケース内に、ローカル5Gの通信機能とアプリケーション機能を集約することで、ネットワークとアプリケーションをオンデマンドに利用できる。
光・LTEなどバックホール回線が無くても、ローカル5Gネットワークを構築することができるほか、小型汎用サーバ単独で屋内での利用も可能だ。
さらに、約90Wの低消費電力であるため、電源が確保されていない屋外エリアでも、可搬バッテリーを用いて長時間利用することができる。
1Wの高出力の無線アンテナを4ポート搭載し、災害・メンテナンス現場などの屋外の広域エリアでも対応可能。同期方式に加え、上りの通信速度を向上できる準同期(TDD1/2/3)に対応することにより、大容量の映像伝送が可能だ。
ソフトウェアをベースに基地局を実装することで、容易なセットアップ・設定変更、柔軟な機能拡張を実現。
また、MECを内蔵することにより、エッジで処理するアプリケーション・AIの機能を配備することができる。
今後は、電源・バックホール回線の用意が難しい災害現場や山間部向けに、ローカル5Gネットワークを迅速かつ一時的に構築するソリューションとして、商用化を目指すとしている。
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