東レ、ナノ積層技術を応用し薄膜・軽量ミリ波吸収フィルムを創出

ミリ波は、電磁波で波長が1~10ミリメートル、周波数に直すと30~300GHzのもので、4G通信の100倍の高速大容量、1/20の超低遅延、多点同時接続といった利点がある。

そのため、近年、ミリ波を利用したローカル5Gを用いたスマート工場や、ミリ波レーダ通信を用いた自動運転などの技術開発が行われている。

しかし、ミリ波の強い直進性に由来した反射や干渉によって生じる電磁波障害の対策が必要であり、ミリ波を吸収する電磁波吸収シートが用いらることが多いが、従来品は電磁波を吸収する金属粒子をシート中に多量に添加するため、高重量かつ数ミリという厚さがあった。

そこで東レ株式会社は、5G通信などに用いられるミリ帯の電磁波を、高効率で吸収する「ミリ波吸収フィルム」を創出した。

このミリ波吸収フィルムは、20dB(99%)以上のミリ波吸収性能を有し、77GHzを吸収する市販品と10cm角サイズで重量を比較した結果、厚さ5分の1、重さ10分の1を達成している。

また、東レ独自のナノ積層技術の応用により、低誘電体層と高誘電体層を交互に積層した多層型ミリ波吸収フィルムとなっている。

この多層構造によって、高効率なミリ波吸収を実現しており、20dB以上の高吸収性能を有しながら、シート厚みの薄膜化と軽量化を達成した。

さらに、このミリ波吸収フィルムは厚みを変えることができ、周波数20GHzから100GHz範囲の任意の周波数の吸収に対応することができる。

東レは、「薄く軽いという特徴をもつミリ波吸収フィルムを活用することで、ミリ波モジュールの製品設計自由度を阻害せずに、電磁波障害を解消することが可能となる」としている。

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