大学共同利用機関法人情報・システム研究機構 国立情報学研究所(以下、NII)、日本電信電話株式会社(以下、NTT)、東日本電信電話株式会社(以下、NTT東日本)、富士通株式会社は、光1波長あたり1.2Tbpsの光伝送環境を構築し、フルスループット(伝送環境で送受信可能な最大データ量)での伝送と、1組の汎用1ソケットサーバを用いた1Tbps超データ転送を、2023年10月17日に成功させたことを発表した。
実験は、NTT東日本の敷設済み商用光ファイバ、NTTが開発したデジタル信号処理技術およびデバイス、富士通製の次世代光伝送システム「1FINITY Ultra Optical System」、およびNIIが開発したファイル転送プロトコル「MMCFTP」(Massively Multi-Connection File Transfer Protocol)を用いて、2つ実施された。

1つ目の実験では、東京都千代田区を起点として、神奈川県横浜市で光ファイバを折り返すネットワークを構成し、光1波長あたり1.2Tbpsの伝送が可能であることを確認した。

なお、1.2Tbps信号のフルスループットは、実験用テスターで確認された。
2つ目の実験では、1.2Tbps伝送環境下にて、1組の汎用1ソケットサーバを用い、NIIが開発したMMCFTPによるデータ転送を行った(トップ画参照)。
実験の結果、1034Gbpsのデータ転送速度で、約47TByteのデータを転送完了させることに成功した。
1034Gbpsのデータ転送速度では、一般的な25GByteのブルーレイディスク1枚を、約0.2秒で転送することができる。なお、47TByteのデータはブルーレイディスク1,880枚分に相当し、約376秒で転送することが可能だ。
今後NIIは、MMCFTPをSINET利用者に幅広く提供し、その実用性を高めていく予定だ。
NTTは、この成果を活用した大容量光伝送システムの開発により、IOWN APNの高度化を目指す。
NTT東日本は、大容量光伝送システムを用いた高速大容量通信サービスの実現を目指し、検討を進めていくとしている。
富士通は、今回の実証実験で得られた効果を基に、光伝送システムの大容量化や低消費電力化を実現する技術開発を継続していくのだという。
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