ローカル5Gのシステムにおいて、端末の認証やネットワーク制御等を担う5Gコアと、電波等の無線制御を行う基地局(RAN)に用いられる機器は、それぞれ同一ベンダーの製品で構成されることが一般的となっており、ユースケースによってはオーバースペックな機器構成となるケースも多くある。
そのため、ベンダーをまたいでローカル5G機器(5Gコア、基地局、端末)を接続することによる、求める要件や予算に応じた機器構成でのネットワーク環境の実現が期待されている。
一方、ベンダーをまたいだローカル5Gシステムを構成するには、機器ごとの設定パラメータのチューニングをベンダーの垣根を越えて実施する必要があるため、導入は限定的になっているのが実情だ。
また、工場や物流倉庫等の広域なエリアでは、さまざまな通信要件の端末が混在して設置されるケースが多くあり、多様なユースケースへの対応が求められている。
こうした中、東日本電信電話株式会社(以下、NTT東日本)は、国内外の通信機器ベンダー等全18社で、ローカル5G機器の相互接続や、ユースケース実証を行う新たな共創プロジェクトを立ち上げることに合意したことを発表した。
今回発表された共創プロジェクトでは、「異なる通信機器ベンダーのローカル5G機器間の相互接続実証」と「ユースケースに応じたローカル5G機器のパラメーターの最適化実証」のテーマを皮切りに、各社共同で実証を進めながら、ローカル5Gの普及・拡大を促進していく。

「異なる通信機器ベンダーのローカル5G機器間の相互接続実証」では、異なるベンダーのローカル5G機器間の接続性を確認し、接続成功パターンでの通信性能や、高精細映像伝送等のユースケースで通信品質を評価する。
加えて、接続不可となった場合の事例をとりまとめ、相互接続における運用ノウハウを確立する。
「ユースケースに応じたローカル5G機器のパラメーターの最適化実証」では、途切れては困る重要な通信等、さまざまな通信要件が混在する環境下において、優先制御や帯域制御といったサービス品質を制御する技術に対応した値や、ハンドオーバパラメータ等の機器パラメータの最適値を明確化する。
加えて、業界団体「O-RAN ALLIANCE」が規定する、無線アクセスネットワークの制御を行うコントローラ「RIC」の活用を視野に、工場や物流倉庫におけるレイアウト変更等で環境が変わった場合においても、自律的・自動的にパラメータ制御が行われる仕組みの実現を目指す。
こうした、各社が開発するローカル5G機器の相互接続の推進や、ユースケースに応じたローカル5G機器のパラメータの最適化実証等を行うことで、システムの低廉化・ユーザビリティ向上を促進し、ローカル5Gの普及・拡大を目指すとしている。
今後は、年内にプロジェクトに参画する企業と共同実証を開始し、得られた成果を国内外へ発信するとともに、アプリケーションベンダー等の新たなメンバーを増やしながら、さまざまなユースケースの実証を進めていく予定だ。
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