富士通株式会社と株式会社KDDI総合研究所は、NEDOが委託する事業の一環で、既設光ファイバを用いた大容量マルチバンド波長多重伝送技術の開発に成功したことを発表した。
今回、従来は中長距離の商用光通信では使用されていなかったC帯以外の波長帯を、一括波長変換およびマルチバンド増幅技術を用いて伝送可能にする技術を開発した。
この技術を導入した光ファイバ通信網では、現状の商用光伝送技術に比較して、5.2倍の波長多重度での伝送が可能になる。
また、既設の光ファイバ設備を利活用するため、経済的かつ省力的に通信トラフィックを増大することができる。
さらに、拡張工事が難しい都市部や密集地でも伝送容量を拡大でき、サービス開始までの時間短縮やコスト削減も期待されている。

具体的には、富士通が、マルチバンド伝送における伝送性能の劣化要因を考慮したシミュレーションモデルを構築し、マルチバンド波長多重システムの伝送設計を可能にした。
シミュレーションモデルには、商用光ファイバ特性の測定結果および一括波長変換器および、マルチバンド増幅器の実験系検証により抽出した伝送パラメータを反映することで、実機測定との誤差を1dB以内に抑える高精度シミュレーションを実現し、バンド帯間の相互作用や伝送性能の劣化を考慮した設計を可能にした。
また、KDDI総合研究所は、これまで高密度波長分割多重(DWDM)伝送で活用されることがなかったO帯で、従来のC帯の2倍の周波数帯域幅の活用を可能にした。
両者の技術を組み合わせ、既設の光ファイバを用いて実際に伝送実験を行い、O帯、S帯、C帯、L帯、U帯でのマルチバンド波長多重伝送(伝送距離45km)を実証した。

これにより、従来のC帯のみの伝送と比べて、波長多重度5.2倍の伝送が可能であることを示した。
さらに、シミュレーションでは、S帯、C帯、L帯、U帯でのマルチバンド波長多重伝送(伝送距離560km)が確認された。
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