ソフトバンク、HAPSの通信容量を最大化するエリア最適化技術の実証実験に成功

ソフトバンク株式会社は、成層圏から通信サービスを提供するプラットフォーム「HAPS(High Altitude Platform Station)」向けのシリンダーアンテナを用いて、2023年9月に北海道の大樹町多目的航空公園で実証実験を行い、HAPSでカバーする通信エリア全体の通信容量などを最大化するエリア最適化技術の実証に成功したことを発表した。

なお、この実証実験では、ソフトバンクが開発した、5Gに対応したシリンダーアンテナが活用されている。

ソフトバンクが開発を進めるHAPS用の無人航空機「Sunglider(サングライダー)」は、1機で直径最大200kmの広域なエリアをカバーするが、単位面積当たりの通信容量を改善するには、通信エリア内を複数のセル(ビーム)でカバーする必要がある。

加えて、人口密集地や人が少ない山間部など、通信エリア内でも場所によって通信量が異なる。

そこでソフトバンクでは、HAPSと通信デバイスとの間で、データの送受信を担う「サービスリンク」向けのアンテナとして、シリンダーアンテナの活用を検討。電波を特定の方向に集中させて送受信する「デジタルビームフォーミング技術」によるビーム形成および方向制御により、地上のユーザ分布などの情報から人口密度やトラフィックが高いエリアにビームを集中させる、エリア最適化技術の開発に取り組んでいる。

今回の実証実験では、高所作業車に搭載したシリンダーアンテナにより形成される通信エリア内の通信品質を測定することで、ユーザの位置に応じて変化したセルの配置を確認した。

また、ユーザ分布の情報を把握するために、一例として通信デバイスの個別の位置情報を使用して、水平面内の6つのセルの方向およびビーム幅の最適化計算を行い、その結果に基づいてシリンダーアンテナによるビーム制御を行った。

ソフトバンク、HAPSの通信容量を最大化するエリア最適化技術の実証実験に成功
実証実験のシステム構成と様子

このビーム制御は、定期的に行うことで時間帯によって変化するユーザ分布に応じた動的制御を行うことも可能だ。

実証実験の結果、通信デバイスの位置に基づいてエリア最適化技術を適用した場合に、各通信デバイスの方向に対してビームが適切に向き、各ビームの受信信号レベルが理論値通りになった。

ソフトバンク、HAPSの通信容量を最大化するエリア最適化技術の実証実験に成功
実証実験の結果の一例

この結果、セルの配置をニーズに応じて最適に制御することが屋外環境でも可能であることが確認でき、これまで検討してきたHAPSのエリア最適化技術の実現性と有効性も確認された。

ソフトバンクは今後、この実証実験を通して得たノウハウやデータを基に、HAPSの実用化および通信ネットワークの高度化を進めていくとしている。

なお、今回の実証実験で実施した内容の一部は、2022年に国立研究開発法人情報通信研究機構(NICT)の「Beyond 5G 研究開発促進事業」の委託研究課題として採択された、「上空プラットフォームにおけるCPSを活用した動的エリア最適化技術」(JPJ012368C05701)に基づいている。

この研究課題は、上空のプラットフォームから広域のエリアカバーを実現する非地上系ネットワーク(NTN)の実現に向けて、上空プラットフォームの高度化と実運用に向けたカバーエリア内の最適化に関する研究開発を行うものだ。

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