アラクサラネットワークス株式会社(以下、アラクサラ)と慶應義塾大学は、NEDOの事業の一部として、従来検出が難しかった1%以下の微少なパケットロスを検出し、異常の見逃しと誤検知を同時に低減する「サイレント障害検知技術」を開発した。
サイレント障害は、ノードや伝送路におけるパケットロスが主要な原因となっている。そこで、今回開発された「サイレント障害検知技術」では、機械学習技術とネットワークのドメイン知識を組み合わせることにより、検知精度を高めた。
これにより、異常の見逃しと誤検知を同時に低減し、従来は検出が難しかった1%以下の微少なパケットロスの検出を実現した。
さらに、他の技術として、「フレキシブルネットワークセンサー技術」「リソース制御技術」「ダイナミックドリルダウン制御技術」も開発。これらの技術の組み合わせにより、ネットワークが自律的に高精度に異常検知や分析を行う「高度なネットワーク監視・制御技術」が開発された。
「フレキシブルネットワークセンサ技術」は、億単位の端末が接続されたネットワークにおいてもフローの識別が可能となり、多接続化するポスト5G時代におけるさまざまなサービスを監視する。
従来のトラフィックデータ収集技術では、ネットワーク機器への負荷と、十分な解析を行うために必要なトラフィックデータの質が上がらない点が課題であった。
そこで、専用のハードウエア機構を用いて、全てのパケットのトラフィックデータを収集するノンサンプリングのトラフィックデータから、付帯情報(メタデータ)をコレクタにて収集を行うフレキシブルネットワークセンサ技術を用いることで、ネットワーク機器に負荷をかけずに、精度の高いトラフィックデータの収集が可能となった。
フレキシブルネットワークセンサは、ノードのハードウエアの機能を再構成可能とすることで、ネットワークに負荷をかけずに必要に応じて最適なデータ収集や帯域制御を行うことを可能にした。
「リソース制御技術」では、このような従来のノードとは異なる再構成可能ノードに対応して、ネットワークとノードのリソースを最適に利用できるようセンサリソースの配備を行う。
また、「ダイナミックドリルダウン制御技術」では、「サイレント障害検知技術」「フレキシブルネットワークセンサー技術」「リソース制御技術」を組み合わせることで、サイレント障害につながるパケットロスなどの品質状況を広範囲に監視するほか、データ収集方式を何段階も変えながら対象の監視を行い、障害の要因特定や対処を自動的に行う。
これにより、少ない収集データ量と計算機リソースでサイレント障害の検知や分析を高精度に行うことが可能となり、ネットワークが自律的かつ高精度に異常検知や分析を行うことができる。
今後、アラクサラは、ネットワーク監視・制御技術の精度向上に努めるとともに、これらの技術を通信事業者のネットワークや企業・公共機関などのネットワーク・クラウドサービスに提供する予定だ。
一方、慶應義塾大学は、これらの技術をセキュアネットワーキング基盤技術として、各種通信インフラに取り込む研究開発を進めるとしている。
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