ソフトバンク株式会社は、全世界の通信事業者と連携を見据えた5Gの特徴を活用した、共通APIによるフィールド実証を行い、2024年2月に完了したことを発表した。この実証を通じて、5G環境で最適な通信制御の実現を促進していく方針だ。
具体的には、オープンソースプロジェクト「CAMARA」によって定義された共通APIを開発し、慶應義塾大学 湘南藤沢キャンパス(以下、SFC)内でプライベートな5G環境を構築、実証を行った。
ソフトバンクは、SFC内に構築したインフラを活用し、5G SA(スタンドアローン)コア設備の制御や情報取得ができる機能の開発と、それらをAPIで開放するシステムであるネットワークAPI Enablerの構築を行った。
また、SFC内に設置されているセンサ情報や実験用の端末情報などを、デジタルツインプラットフォーム上で収集・連携させることで、さまざまなユースケースの検証を実施できる検証基盤を構築した。
その結果、「CAMARA」によって定義された共通APIによる通信品質の制御が可能なことを確認した。さらに、同キャンパス研究所が運営する「デジタルツインキャンパスコンソーシアム」の参加者は、構築した共通APIを実証環境で利用することが可能だ。
また、実証では、遠隔監視での利用を目的としたカメラの映像品質と通信品質を制御するシステムを開発し、人物検知を契機に映像と通信の品質を最適化するソリューションを構築した。
そして、このソリューションを活用し、ネットワークの通信帯域やレイテンシーを用途に応じて切り替えることができる仕組みであるQuality on Demand(QoD) APIによる、映像品質と通信品質の制御の動作検証およびユースケースへの適応検証を行った。
QoD APIを用いて、異常検知時のみ低品質から高品質な映像へ切り替えることで、通信データ量の無駄をなくし、運用コスト削減を図ることができるようになった。
なお、ソフトバンクは通信事業者の業界団体「GSMA」が立ち上げた共通APIの構築に向けた「GSMA Open Gateway」に参画している。
今後は、この技術の商用サービスの導入に向けた検討を進めつつ、ネットワークを必要に応じてカスタマイズする新たな使い方による、社会課題の解決を目指すとしている。
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