従来のモバイルネットワークは、端末とクラウドでのデータ処理とは独立してデータの転送を担ってきた。しかし、これは端末とクラウドのサービスが密接に連携した処理ができないという限界を抱えていた。だが、6Gでは端末とクラウドのサービスが密接に連携することが求められている。
そこで、日本電信電話株式会社(以下、NTT)と株式会社NTTドコモ(以下、ドコモ)は、NTTが提案する「インクルーシブコア」構想をもとに、3GPP標準準拠のモバイルコアを拡張。その結果、6Gの特徴の一つであるコンピューティング機能を具備したモバイルネットワークを構築し、共同で実証した。
実証実験では、Nokia社の3GPP標準準拠のモバイルコアネットワークをパブリッククラウド上に構築し、モバイルネットワーク連携機能「ISAP」と連携するように、ネットワークの情報を外部に開示する5G標準機能の「NEF(Network Exposure Function)」を拡張することで実施した。
![NTTとドコモ、6G時代へ向けコンピューティングとモバイルネットワークの融合に成功](https://iotnews.jp/wp-content/uploads/134995b92ecdb6b653ac846fe97009f9.jpg)
そして、「端末のモバイルネットワーク接続状態に合わせたモバイル回線への計算サービス設定」「クラウド側のサービスの利用状態の変化に合わせたモバイル回線への計算サービス設定」「モバイルネットワークやクラウド側のサービスの状態や特徴・特性に適した計算サービスに用いるコンピューティング機能の制御」の特徴について、以下を実証実験で確認した。
「端末のモバイルネットワーク接続状態に合わせたモバイル回線への計算サービス設定」については、モバイルコアネットワークからNEFを用いて、端末のモバイルネットワーク接続状態情報を取得・連動した。
そして、モバイルネットワーク内のコンピューティング機能から計算サービスを統合制御可能であることを確認した。また、通常のモバイルネットワークへの接続手順相当の時間で完了することを確認した。(下図A)
「クラウド側のサービスの利用状態の変化に合わせたモバイル回線への計算サービス設定」については、メタバースを利用するケースにおいて、メタバース空間内の状態に応じてレンダリングやエンコードデコード機能に対応したGPU付きの計算サービスを具備するように、計算サービスを制御可能であることを確認した。
また、メタバース空間の状態変化時間内に計算サービスを回線に設定できることを確認した。(下図B)
「モバイルネットワークやクラウド側のサービスの状態や特徴・特性に適した計算サービスに用いるコンピューティング機能の制御」では、メタバースに加えて、監視カメラ映像ストリームをAIで分析するサービスなど、サービス毎で異なる特性がある場合において、GPUやDPUなどのコンピューティング機能をCPUを介さず動的に組み合わせて計算サービスを構成し、モバイル回線の接続および変更手順相当時間内に設定が可能であることを確認した。(下図C)
![NTTとドコモ、6G時代へ向けコンピューティングとモバイルネットワークの融合に成功](https://iotnews.jp/wp-content/uploads/ISAP.jpg)
これにより、6GやIOWN時代のサービスにおいて、端末の性能に依存せずに利用することが期待できる。
この成果は、Nokia社のクラウド型モバイルコアサービス「CoreSaaS」と連携して実証実験を実施し、2024年2月26日から29日にかけて開催されるGSMA主催の「Mobile World Congress Barcelona」で、Nokiaブースにて展示される予定だ。
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