無印良品と取り組むバーチャル試着体験を展示するKDDI ーMWC2024レポート7

MWC2024レポートの最後はKDDIのブースだ。

KDDIはMWCのトレンドを予測して、展示内容を選定したようにも感じられる内容だった。MWC2024のトレンドでもあるAI、Network API及び、近年注目を集めているNTNに関する展示を紹介したい。

無印良品と取り組む、DIGITAL TWIN with AI

無印良品と共に取り組んでいるDIGITAL TWIN with AI
無印良品と共に取り組んでいるDIGITAL TWIN with AI

まず、DIGITAL TWIN with AIでは無印良品の銀座店をメタバースで再現して、世界中どこからでも無印良品店舗の体験ができるようになっていた。

AIは主にバーチャルフィッティングで活用されていて、気になった洋服と自分の写真を選択すると、その写真に洋服を合成して表示してくれる。

自分の写真はどのようなポーズでも良く、姿勢や腕や足を認識して、実際に着用してこの体勢だとこんな雰囲気になるということをAIが元の写真に洋服を合成して、その洋服を着用したシーンの画像を生成してくれるという仕組みだ。

DIGITAL TWIN with AIでは、直立不動のバーチャルマネキンによるフィッティングから、適当に写真を選んで着せ替えが可能になるという変化を見せたが、ユーザーが手軽に自分が着た感じを確認できることは、試着より楽で客観的に見れて良いと感じる人も少なくないだろう。

スマホがあれば世界中どこでも無印良品銀座店が体験可能
スマホがあれば世界中どこでも無印良品銀座店が体験可能

二つのNetwork APIの事例

Network APIはAPI DRIVEN PARTNERSHIPと題して事例を2つ紹介していた。

1つはJリーグの京都サンガと共に取り組んでいるスタジアムの観客向けのARサービスだ。

ARを活用したミニゲームとギフティングができるのだが、ARアプリケーションとギフティングの課金などをKDDIがAPIを介して提供するようになっている。

つまり個別にローカル側でのアプリケーション開発をするのではなく、APIを指定することでKDDI側からアプリケーションを提供するイメージだ。将来的には数万人のスタジアムで快適にARアプリケーションが利用できるようにするために、ネットワークスライシングやWi-FiのQoD(Quality on Demand)などもセットで提供していくことになるだろう。

Network APIのユースケースを具体的に紹介していたAPI DRIVEN PARTNERSHIP
Network APIのユースケースを具体的に紹介していたAPI DRIVEN PARTNERSHIP

もう一つがEricssonでも展示されていたソニーの4Kカメラのユースケースだ。

KDDIブースでも中継映像のアップリンクを行うネットワークスライシングのAPIについても説明があったが、面白かったのは専用端末だ。

この専用端末はモバイルルーターになっていて、カメラとUSBやHDMIで接続する。4K映像の送信をするための高速通信の場合、高い処理能力が求められるのでSoC(CPUやモデムなど)もバッテリーも高エネルギーが必要となる。

このような通信をする場合、既存のモバイルルーターでは数分から数十分で熱暴走して利用できなくなるという。

そこで、ハイレベルな熱処理機能に加えバッテリー容量も大きくした4K配信映像を4時間程度、連続で送信可能とするモバイルルーターを開発したという。

野球の場合、試合時間が4時間を超えることがあるが、サッカーは確実に1台で試合開始から終了までカバーできそうだ。

KDDIが開発した高速通信・ネットワークAPI対応モバイルルーター
KDDIが開発した高速通信・ネットワークAPI対応モバイルルーター

専用アンテナ入らず、宇宙からSMSを送受信

最後にNTN(Non-Terrestrial Network:非地上系ネットワーク)だが、日本でもサービスがスタートしているSTARLINKの展示があった。

現状では専用のアンテナが必要で、アンテナと一体化したルーター経由でスマホやPCなどを接続して使用することになっている。また災害などで地上系の無線通信が提供できなくなった際にSTRALINKを活用して地上系無線を提供する簡易基地局の模型も展示されていた。

STARLINKと接続する緊急用無線アンテナ模型(手前)とSTARLINKのアンテナ(奥)
STARLINKと接続する緊急用無線アンテナ模型(手前)とSTARLINKのアンテナ(奥)

ブースでの説明では2024年中に、専用のアンテナを使用せず、STARLINKからSMSを直接スマホに送受信できるようになるという。

その後、順次、通話やデータ通信もスマホだけでSTARLINKの通信で利用できるようにしていくとのことだ。

人口カバー率は99.9%と言われているが、国土カバー率は6割程度というのが現状の通信エリアの実態だ。山間部など人が住んでいないようなところは今でも圏外となる場所は珍しくない。今後はNTNと既存の地上系ネットワークをデュアルで活用することで、見通しのいい屋外であれば、世界中どこでも通信サービスが利用できるようになっていくだろう。

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