日本電信電話(以下、NTT)は、通信断を生じさせることなく様々な種類の光ファイバを分岐・合流させる施工技術を実証した。
光ファイバは、多様な屈折率分布を持ち、それぞれ伝搬特性(実効屈折率)が異なる。これらを分岐させる既存の技術では、分岐元の光ファイバと分岐先の光ファイバの伝搬特性が一致する必要があった。
そのため、分岐元の光ファイバの実効屈折率を現地で把握し、それに適した分岐用光ファイバを用意しなければならなかった。
しかし、実効屈折率の把握を行うためには、分岐元の光ファイバをサービス停止する必要があるため、現実的には困難な状況であった。こうした背景から、通信中の光ファイバがどのような実効屈折率を有している場合であっても、分岐を可能とする技術の確立が課題となっていた。
この課題を解決するため、NTTは通信中の光ファイバがどのような実効屈折率を有している場合でも、分岐を可能とする技術を確立した。
この成果では、コア直径を変化させた構造を有する分岐用光ファイバの作製方法を開発した。実効屈折率は、コア直径により変化するため、同構造の光ファイバは、多様な実効屈折率を有する光ファイバとして使うことが可能だ。
これを分岐用光ファイバとして使用することで、分岐元光ファイバの実効屈折率がどのような場合であっても、光ファイバを分岐することが可能となる。
NTTは、この光ファイバを作製する技術、ならびにこれを用いた分岐を実証。これにより、分岐可能な光ファイバの範囲を従来と比べて大幅に拡大し、光アクセスネットワークで一般的に使用されている国際標準規格4,5を満たすすべての光ファイバを分岐・合流することが可能となった。
この技術を活用することで、どこからでも通信へ影響なく接続できる柔軟な光ネットワークを実現し、通信事業者の設備構築コスト削減や工期短縮による早期のネットワーク利用が可能になることが期待されている。
今後は、同技術の実フィールドにおける活用に向け、耐環境特性の評価や試作装置を用いたフィールド検証を進めていくことで、多様化するニーズに対して対応可能な光ネットワークの実現を目指すとしている。
なお、この成果は、2024年5月16日~17日に開催予定の「つくばフォーラム2024」で紹介される。
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