日本電気株式会社(以下、NEC)は、仮想化された無線アクセスネットワーク(以下、vRAN)に対して、無線アクセスネットワークの標準化を推進する業界団体O-RAN Allianceの仕様に準拠したネットワーク制御を可能にする「Near-RT RIC(Near Real-time RAN Intelligent Controller)」プラットフォームと、RICアプリケーションを開発した。
「Near-RT RIC」プラットフォームは、汎用ハードウェア上で動作するvRANに対して、O-RAN Alliance仕様に準拠したネットワーク制御を可能にする。
これにより、サービス要件やネットワーク状況に応じてRAN(基地局)の設定を動的にカスタマイズすることが可能となる。

さらに、このプラットフォーム上で動作するRICアプリケーションとして、セル間の負荷分散機能、スライスのSLA(Service Level Agreement)保証機能、ユーザやアプリケーションが許容できる許容遅延達成の高信頼化機能を実装した。
これらのRICアプリケーションを追加することで、RANの動作を動的にカスタマイズし、品質改善やSLA保証、省電力などの機能拡張が可能だ。
さらに、RICの制御はO-RAN Alliance仕様に準拠したインタフェースを介して、従来のRAN機能と分離されて仮想化基盤上で動作するため、AIに関するハードやソフトの技術革新を取り込むことができる。
これらの仕組みを活用してRAN運用の自動化や自律化を進めることにより、TCO(Total Cost of Ownership)を抑えながら、vRANの価値を向上させることができるとのことだ。
なおNECは、許容遅延達成の高信頼化機能について、5G vRANを用いた屋内の実験環境でその有効性を実証した。
具体的には、5G vRANを用いて、屋内環境でモバイルロボット遠隔制御用のネットワークを構築し、許容遅延の達成を高信頼化するRICアプリケーションの実証実験を行った。
モバイルロボット端末ごとに無線制御を動的に最適化することで、RICを使用しない場合と比べ、許容遅延を超過するパケットの発生頻度を1/6以下に低減できることを実証した。
今後NECは、ネットワークの品質改善や省電力化、AIを用いた運用自律性向上に対応した「Near-RT RIC」のアプリケーションを拡充するとしている。
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