建設現場では作業前に必ず、作業担当者の経験・知識・感覚を基に、起こり得る災害を予測し対策を立案する「危険予知活動」を行う。このため、作業担当者が該当作業に関連する過去の災害事例を数多く参照できれば、危険予知の精度向上につながることが期待されるが、膨大な事例の中から該当事例を自ら選定することは多くの手間と時間がかかる。
また、災害事例に記載された作業内容、災害原因、災害状況は「自然言語(自由に記述された文章)」のため、どのような作業においてどのような原因で災害が起こったのかという「災害傾向」の把握には、災害事例をすべて読み解く必要があり、日々の危険予知活動における災害事例データの効果的な活用の障害となっていた。
鹿島建設株式会社と、建設業・製造業のDXを支援する株式会社UNAIITは共同で、鹿島が保有する約5,000件の災害事例と、厚生労働省が運営する「職場のあんぜんサイト」に掲載されている約64,000件の災害事例をAIを用いて解析し、類似作業の災害事例を見える化するシステム「鹿島セーフナビ(K-SAFE)」を開発した。
システムの特長
- 災害事例は、鹿島が保有する約5,000件に加え、厚生労働省の運営サイトに蓄積された約64,000件のデータを取り込み、AIの「自然言語処理技術」を用いて解析することで、災害原因を特定
- 特定した災害原因をクラスタリング(分類)や代表的キーワードでラベリング(タイトル付け)
- システム上で文章入力した作業内容を災害事例データと照合し、類似作業の災害傾向をグラフ表示
- グラフ表示は災害の原因や状況別などに切り替えができ、それぞれの災害件数を一目で把握可能
システムの機能
- 解析対象は、鹿島と厚生労働省の一方、または両方の災害事例を選択
- 作業内容の入力は単語(キーワード)入力に加え、文章での入力も可能
- 類似作業の災害事例を、災害の原因や状況別、時系列(年ごと)でグラフ表示
- 災害事例を直近10年、直近5年で絞り込み可能
- 災害事例の詳細が一覧表示され、CSV出力が可能
- グラフラベルやグラフの一部をクリックすると、それに含まれる災害事例を一覧表示
- グラフは災害ランク(死亡災害や休業4日以上など)ごとに色別で表示
無料メルマガ会員に登録しませんか?
膨大な記事を効率よくチェック!

IoTに関する様々な情報を取材し、皆様にお届けいたします。