昨今国内では、社会インフラの老朽化と労働人口の減少が同時に進行しており、インフラを効率的に維持管理する手法の確立が喫緊の課題となっている。一方、橋梁をはじめとする社会インフラは、モニタリングを通じた適切な維持管理を行うことで、耐用年数を大幅に延ばすことが可能だ。
そうした中、株式会社IHIと株式会社IHIインフラシステム(以下、IIS)は、高度接合技術などの開発を手がける株式会社NejiLawと共同で、NejiLawが開発した「smartNeji(スマートネジ)」を用いた長大吊橋モニタリングシステムの運用を開始した。
「smartNeji」は、NejiLawの緩まないネジ「L/R neji」に、締付力や加速度を検知する各種センサと通信モジュールを搭載したマルチセンシングIoTデバイス(ボルト)だ。
今回のモニタリングシステムは、「smartNeji」の有用性を実橋で確認するため、日本高速道路株式会社の協力のもと、築約50年の関門橋において、床組み固定装置に使用されていたボルトを「smartNeji」に差し替え、ボルトの締付力をモニタリングする。
床組み固定装置は、摩擦力を利用して地震時の吊橋の挙動を制御し、吊橋全体の損傷を抑制する機能を持つ。
このときの摩擦力が締付力と比例関係にあることから、締付けボルトに「smartNeji」を用いて締付力を検出することで、設計どおりの摩擦力を得てることができる。
また、将来的に締付力が変化した場合にも自動で検出することが可能だ。さらに、地震発生時にはその前後のモニタリングデータから、地震による橋の挙動および損傷度合いを推定することもできる。
将来的には、点検困難かつ振動を受けやすい部位にあり、締付力の管理が重要になるボルト全般に適用範囲を広げ、国内外の長大吊橋における総合モニタリングシステムへと発展させていくことを目指すとしている。
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