建築業界におけるBIM(※)活用が近年ますます拡がりを見せるなか、国土交通省は2023年度までに中規模以上の公共工事においてBIMの原則適用を決定しており、今後さらなるBIM活用の本格化が想定されている。これを受け、建材・設備メーカーでも自社製品のBIMデータ整備の需要が高まっているが、社内外でのBIMオペレーターリソース不足や、複数BIMソフトの対応が求められることなどから、自社製品のBIMデータをメーカーが管理・配布するにはまだ課題がある。
凸版印刷株式会社は、商品における画像やスペックなどの多様な情報を一元管理しマルチユースを実現する統合情報データベース「GAMEDIOS」を1996年より提供している。
このほど、GAMEDIOSの新機能として、建材・設備メーカーが持つ製品データを登録し、簡単にBIMデータの管理・更新・提供ができる「GAMEDIOS BIMオプション」を開発し、2022年10月よりRevit版の提供を開始する。
BIMデータは形状データとスペック(属性)情報の両方が含まれており、価格や品番などのスペック情報の更新が発生するたびにBIMデータの更新が必要となる。同サービスでは、GAMEDIOSに元となるBIMデータと製品スペック情報を登録し、BIMデータ内の形状情報にGAMEDIOSに登録された製品スペックを合成処理することで、BIM専用ソフトを使用することなくBIMデータ内の製品スペックを更新することができる。
また、建材・設備メーカーがGAMEDIOSで管理・更新したBIMデータは、外部向けに配信するWebサイトで利用できる。配信用Webサイトはメーカーごとにカスタマイズが可能なため、このサイトを自社コンテンツとして提供できる。配信データはGAMEDIOSと連携しているため、サイトのための更新作業は不要だ。
さらに、BIMデータ合成時にWebブラウザ等で閲覧できる3Dモデルデータを生成する。このデータは、同サービスが提供するBIMダウンロードサイト上で製品形状プレビューとして利用されるほか、販促・プロモーション領域におけるデータの2次活用にも利用できる。
これまで凸版印刷がカタログ制作やAR/VR/メタバースを活用してプロモーション・サービスなどの販促領域で3Dデータを扱ってきたノウハウと同サービスを組み合わせることで、カタログ用CGとBIMデータの同時制作や、3Dモデルデータを活用した見積シミュレーションの構築、ビジネス向けメタバースサービス基盤「MiraVerse」をはじめとするAR/VR/メタバースへの展開など、BIMデータの販促分野への活用を支援する。
今後凸版印刷は、同サービスをバージョンアップし、Revit以外のBIMソフトへ対応していくという。また、2023年度にはデジタルカタログサービス「iCata」において、メーカーを横断したBIMデータの検索・ダウンロード機能を公開予定としている。2025年度までに同サービス並びに関連サービスにて10億円の売上を目指す。
なお、同サービスの利用費は月額5万円~となっている。また、GAMEDIOS ASPサービスの初期設定費用は50万円~、月額費用は10万円~である。
※ BIM(Building Information Modeling):建築物をコンピューター上の3D空間で構築し、企画・設計・施工・維持管理に関する情報を一元化して活用する手法。
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