鹿島建設株式会社(以下、鹿島)は、建設機械の自動運転を核とした自動化施工システム「A4CSEL」(クワッドアクセル)を開発し、2015年から工事に導入してきた。
「A4CSEL」は、人が作業データを送ると、建設機械が定型的な作業や繰返し作業を自動で行うため、必要最小限の人員で複数の機械を同時に動かすことができるシステムだ。
そして本日、秋田県で施工中である成瀬ダム堤体打設工事(以下、成瀬ダム工事)において、「A4CSEL」による、現地発生材(石や砂れき)とセメント、水を混合してつくる材料である「CSG」打設を、有人運転の場合と比較した結果、省力化および生産性の向上とともに、施工時のCO2排出量の抑制にも効果があることが確認されたことを発表した。
評価の方法は、現場での稼働実績を基に、「A4CSEL」の労働生産性を評価。ここでは、「同じ生産量を従来よりも少ない人員で得る」「同じ人員数で従来よりも多くの生産量を得る」ことを評価の尺度としている。
2022年度の成瀬ダム工事におけるCSG打設は、15台の自動化建設機械を4名で管制。2023年度は自動化機械を増強し、最大20台を4名で管制する計画だ。
成瀬ダム工事での自動ブルドーザによるCSGまき出し作業(敷き広げる作業)は、AI手法、シミュレーションによって最適化された作業計画をリアルタイムで作成し、その計画通りに実施される。
このため、有人運転よりも少ない動作でまき出しを行うことができる。
2022年度の同ダム工事での自動ブルドーザによるCSGまき出し量は254.4m3/hと、有人運転128.6m3/hの約2倍であった。
同ダム工事では、「A4CSEL」による生産性の向上が影響し、2022年10月に月間打設量の国内最高記録を62年ぶりに更新したのだという。
また、転圧作業時の自動振動ローラは、有人運転では通常±20~50cmの精度であったのが、計画経路に対して±10cmの精度で走行できるようになり、走行距離が15~25%削減された。
さらに、同じ動作をする場合でも、自動ブルドーザの走行距離は、有人運転に比べて約1/4となることが確認された。
これは、同じ計画で運転する場合でも、有人運転はまき出し箇所から距離をおいてオペレータによる目視確認が必要である一方、自動運転はセンサで動くため、最小限の走行距離・時間での作業が可能となるためだ。
加えて、「A4CSEL」の導入により、単位時間あたりの打設量の増大、建設機械の走行距離が短縮する。これにより、単位生産量に対する燃料使用量が減り、CO2排出量の抑制につながる。
具体的には、成瀬ダム工事における自動運転でのまき出し作業1m3あたりの燃料使用量を、有人運転と比較したところ、約40~50%削減できたことが確認された。
今後鹿島は、自動化施工率を高めるため、自動化建設機械の機能および性能を向上させるとともに、対象機種の増加により、「A4CSEL」を多くの現場に継続的に導入していくとしている。
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