都市部や住宅街において建設工事を進めるにあたっては、周辺地域の住民の理解と協力を得ることが重要である。特に、工事による振動が及ぼす影響については、周辺環境への配慮、住民の不安軽減のためにも、常に把握することが求められている。
しかし、工事に起因する振動は様々あり、それらがどの範囲にどの程度の影響を及ぼすかを予測することは難しいのが現状である。また、計測のために現場敷地外に複数の振動計を長期間設置することや、人手による巡回計測にも限界がある。
日本電気株式会社(以下、NEC)、鹿島建設株式会社(以下、鹿島)、東日本電信電話株式会社(以下、NTT東日本)は共同で、NECと鹿島の光ファイバセンシング技術を応用し、既に電柱に共架しているNTT東日本の通信用光ファイバ(通信用光ファイバ回線のうち未使用の稼働していない芯線)を振動センサとして活用する実証実験を2022年1月~2024年3月まで実施する。
光ファイバセンシング技術は、センシング装置を接続した通信用光ファイバの全長でかつ同時に、振動分布のモニタリングが可能な技術である。計測から可視化まで人手を介さないため、常時(24時間、365日)モニタリングし続けることができるほか、工事に由来する振動のみをリアルタイムに抽出して地図上へのマッピングが可能だ。また、市中に張り巡らされている通信用光ファイバが振動センサとなるため、新たなセンサの設置が不要となる。
同実証実験は、トンネル掘削工事現場の周辺に敷設されている通信用光ファイバの上部側終端部にセンシング装置を取付け、建設機械等(振動源)に起因する振動が、周辺の地盤から電柱を経由して一般通信用光ファイバに伝わる状況を、2022年1月から2023年6月にかけてモニタリングすることで、工事振動の影響範囲を常時かつ面的に可視化する。
3社は今後、同成果を踏まえ、様々な工事に対応可能な振動状況の計測や可視化方法の検討等を進めていきたいとのこと。
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