昨今、施工現場においては、安全性や生産性の向上、労働環境の改善、労働力不足による技能者の人財育成などが課題となっている。その解決策の一つとして、建設機械の遠隔操作や自動運転に期待が寄せられている。
現在、建設機械の遠隔操作は、災害復旧現場や人が立ち入れない環境での作業など、特定のシーンや業種において行われている。油圧ショベルで遠隔操作を行うには、機械の大幅な仕様変更が必要で、導入の手間や工数などが課題となっていた。
日立建機株式会社では、2020年8月に自律型建設機械向けシステムプラットフォーム「ZCORE」を開発し、2023年5月にはZCOREに基づき遠隔操作・自動運転ソリューションに対応した油圧ショベルの開発について発表している。
このほど、遠隔操作ソリューションに対応した油圧ショベル「RBTシリーズ」を、日本国内向けに2024年5月より発売すると発表した。
第1弾のラインアップは、遠隔操作を行うための「RBTリモコン」を備えた2機種の中型油圧ショベルZX200A-7(20トンクラス)と、ZX330A-7(30トンクラス)だ。いずれの機種も、ZAXIS-7シリーズのICT油圧ショベルをベースとしており、遠隔操作でICT施工を行うこともできる。
RBTシリーズの油圧ショベルの遠隔操作は、RBTリモコンのレバーやスイッチを操作して行う。また、車体とRBTリモコンは双方向で通信しているため、油圧ショベルの操作に必要な車体の情報(車体とクローラーの角度、エンジン冷却水温、燃料残量など)をリモコン内のモニターで確認することができる。油圧ショベルの運転室内にあるスイッチを切り替えることで、オペレータが搭乗して油圧ショベルを操作することも可能だ。
遠隔操作においては、建設機械の周囲情報が把握しづらい場合がある。この場合、オペレータは、別の映像システムなどで衝突・接触してはいけない対象物を確認しながら慎重に操作する必要があり、作業効率向上の妨げになるほか、オペレータの負担も大きなものとなる。
RBTシリーズの油圧ショベルは、機械の周囲情報が把握しづらい状況でも、エリアコントロール機能を用いて、油圧ショベルの動作範囲を予め制限することができる。遠隔操作の際、油圧ショベルが設定した境界に近づくにつれて動作スピードが減速・停止する。これにより、オペレータの負担を軽減する。
さらに、RBTシリーズの油圧ショベルはICT施工にも対応している。遠隔操作においても、マシンコントロール機能を用いて効率的な施工が可能だという。
日立建機は、同製品の販売目標台数として、2機種合計で年間10台を見込んでいるとのこと。
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