内田洋行ビジネスITフェア2024

NTT、IOWN APNで建設機械の遠隔操作・現場環境を把握し建設作業の作業環境と安全性向上を実証

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日本電信電話株式会社(以下、NTT)は、大容量・低遅延・確定遅延の特徴を持つIOWNオールフォトニクス・ネットワーク(All-Photonics Network、以下、APN※)を活用して、現場の建設機械と遠隔操作システムを接続することで、違和感のない遠隔操作が可能であることを、各社と連携して確認した。

今回の実証では、実際の工事現場の建設機械を、遠隔拠点のオフィス等から遠隔操作することを想定した際の効果を確認するために、遠隔操作用コックピットをNTT武蔵野研究開発センタに、建設機械を遠隔地の現場に設置し、2拠点間をAPNで接続して遠隔操作、および遠隔で現場環境の確認を実証するネットワークを構築した。

拠点や操作対象の建設機械が異なる2つのユースケースにおいて、建設機械の制御信号、および現場の映像等を低遅延かつ確定遅延で伝送し、建設機械の遠隔操作に関する動作実証を行った。

NTT、IOWN APNで建設機械の遠隔操作・現場環境を把握し建設作業の作業環境と安全性向上を実証
実証内容のイメージ

一つ目のユースケースは、無線と組み合わせて、油圧ショベルを遠隔操作するといったものだ。

具体的には、コマツ製の油圧ショベルを、千葉県美浜区のコマツIoTセンタ東京に設置し、コマツとEARTHBRAINが共同開発した遠隔操作システムを利用して、APN経由での遠隔操作、およびリアルタイムでの現場環境の確認を実証した。

この実証では、遠隔操作システムがAPNと無線を組み合わせて、さらなる低遅延化の実現による操作性の向上や、現場でのより迅速な環境構築による利便性の向上、様々な環境下での利用の可能性を確認した。

また、NTTの超低遅延映像伝送技術を活用し、現場の映像を4Kの高解像度で画質劣化なく伝送することで、遠隔地にいるオペレータが現場の状況を正確に把握することが可能となった。

二つ目のユースケースは、End-to-Endでの有線接続で定置式タワークレーンを遠隔操作するといったものだ。

具体的には、竹中工務店西日本機材センタに設置されたタワークレーンに対し、タワークレーン遠隔操作システム「TawaRemo」を利用して、APN経由での遠隔操作を動作実証した。

「TawaRemo」の映像伝送については、株式会社ジザイエの低遅延映像伝送技術を搭載した、リアルタイム遠隔就労支援プラットフォーム「JIZAIPAD」とAPN組み合わせて、リアルタイム映像伝送の動作実証を行った。

この実証では、熟練の作業者が遠隔操作する際の品質を担保するために規定された、500msec以内という許容可能な遅延値に対して、タワークレーンまでAPNで接続して遠隔操作を行った。

東京~大阪間の約500kmでの低遅延かつ確定遅延というAPNの特性を利用した遠隔操作により、常時、許容可能な遅延値内で、資材や重量物をクレーンやフォークリフトなどの機械を使って持ち上げる作業である「揚重」等の遠隔操作を実現できることを確認した。

また、APNの確定遅延の特性を考慮することで、ジザイエが提供する低遅延映像伝送技術におけるバッファ時間のさらなる短縮が可能となり、リアルタイム映像伝送に対する有効性を確認した。

今後は、今回の実証による知見をもとに、適用エリアや活用するユースケースの拡大への検討を進めるとともに、ドローンによる工事現場の監視等との組み合わせによる提供価値の拡大を合わせて検討していくとしている。

なお、今回の成果は、2023年11月14日~17日に開催される「NTT R&D フォーラム―IOWN ACCELERATION」に展示される予定だ。

※IOWN APN(オールフォトニクス・ネットワーク):IOWNは、ネットワークだけでなく、端末処理まで光化する「オールフォトニクス・ネットワーク(APN)」、サイバー空間上でモノやヒト同士の高度かつリアルタイムなインタラクションを可能とする「デジタル・ツイン・コンピューティング」、それらを含む様々なICTリソースを効率的に配備する「コグニティブ・ファウンデーション」の3つで構成される。

APNは、ネットワークから端末、チップの中にまで新たな光技術を導入することにより、これまで実現が困難であった超低消費電力化、超高速処理を達成する。1本の光ファイバ上で機能ごとに波長を割り当てて運用することで、インターネットに代表される情報通信の機能や、センシングの機能など、社会基盤を支える複数の機能を互いに干渉することなく提供することができる。

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