建設現場内で情報収集が必要なすべての箇所にカメラを設置し、現場状況を一括で遠隔監視することが可能となれば、施工管理業務の効率化が期待できるが、導入コストや機器・データ管理等の課題から、一つの建設現場へのカメラ導入は数台程度にとどまっていた。
そこで、大成建設株式会社と株式会社ソラコムは共同で、建設現場内に設置した数十台から数百台のWi-Fiカメラの映像情報を活用して、工事計画の管理を遠隔から行うことができるWEBカメラシステム「BuildEYE(ビルドアイ)」を開発した。
同システムの実用化は、ソラコムのクラウド型カメラサービス「ソラカメ」と大成建設のデジタル情報標準基盤「T-BasisX」との連携を可能にするユーザーインターフェース(以下、UI)の独自開発によって実現したもので、生産プロセスのDXに向けた建設現場情報収集システム「T-SearchX」の主力ツールとなるものだ。
「BuildEYE」は、「ソラカメ」に対応するWi-Fiカメラ「ATOM Cam Swing」を建設現場のあらゆる箇所に取り付け、「T-BasisX」で構築するWi-Fi環境を利用して、撮影した映像をクラウド上に保管・管理する。これにより、建設現場の管理者や作業者などが、常時遠隔から録画映像を閲覧・一括管理することができる。
同システムは、「T-BasisX」によるメッシュWi-Fi環境と、「ソラカメ」の既存サービスを活用することで、カメラの管理やライブ映像視聴、クラウド録画といったWEBカメラシステムの開発・運用にかかるコスト、期間を低減させている。
元々、「ソラカメ」のスマホアプリやWEBコンソールは、複数台のカメラを対象とした汎用的な使用を想定して開発されたサービスのため、数十台から数百台のカメラの使用や施工管理業務に対応する仕様ではなかった。
そこで、「ソラカメ」に標準搭載されたアプリケーション同士を連携させる機能に着目し、大成建設の既存システムとの連携を可能にするUIを今回独自開発することで、建設現場に設置されたあらゆるカメラの映像情報を施工管理に活用できるようにした形だ。
これにより、「BuildEYE」の管理画面にアクセスして、プロジェクトごとに個別カメラの映像や多数のカメラ情報の閲覧・管理を遠隔から一括して効率よく行うことが可能となった。
さらに、この独自開発のUIにより、遠隔からカメラの動きを制御することができ、設置場所全体を見渡すことも可能だ。また、長期間の録画映像保存、検索機能、音・動的検知機能などを標準装備している。
加えて、複数の現場での利用を想定し、本社や支店、現場管理者、各フロア施工管理担当者など、ユーザの役割やニーズに応じて、対象カメラの切り替えなどの膨大な映像情報を管理できる仕様となっている。

今後、大成建設とソラコムは、同システムの建設現場での運用・普及に向けて、機能改善や拡張のための改良・開発を継続するとともに、建設現場で蓄積された様々なデータの活用や、AI、自社の既存管理システム、各種センサとの連携などの応用展開を進めていくとしている。
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