モルフォ・ライト工業・EARTHBRAIN、AIと画像処理による削孔座標検知技術を開発

橋脚耐震補強工事において、落橋防止装置を取り付けるために鋼製ブラケットを橋脚に取り付ける。そのブラケット固定用にアンカー孔を削孔するが、既設コンクリートの鉄筋を切断しないように削孔する必要がある。

そのため、当初の設計位置に鉄筋アンカーが取り付けられないケースが多々あり、その都度現場で実際のアンカー削孔位置の正確な位置を計測し、図面を作成する必要がある。

削孔位置の計測と図面作成には、人員と時間を必要とすることと、ヒューマンエラーによる計測ミスが生じた際の工程的遅延や金銭的な損失が課題となっている。

こうした中、株式会社モルフォは、AIと画像処理技術による削孔座標検知技術「削孔位置画像計測システム Quick Drafter」を、ライト工業株式会社および株式会社EARTHBRAINと開発したことを発表した。

このシステムは、落橋防止装置施工の工程中、コンクリート削孔を実施した際の削孔位置を、スマートフォンのカメラで撮影することで、自動で孔位置の計測から図面化する技術だ。

具体的には、現地にて鋼製ブラケットの外周線を引き、四隅にタグを貼り付け、タグが入るようにスマートフォンのカメラで撮影して画像をアップロードすると、数分で孔位置の計測結果を出力し、自動的に図面化を行う。

スマートフォンのカメラを活用するため、端末毎のカメラレンズの個体差による計測誤差が、計測精度に影響が与える可能性がある。そこで、カメラに対するキャリブレーション機能を搭載しており、対象物を複数回撮影することで、レンズ・パラメータを自動的に調整することが可能だ。

また、高い検出精度を実現するため、撮影対象物の四隅にタグを取り付け、画像変換・補正を行う機能を搭載しています。本機能により、タグサイズを用いて画像ピクセルを物理的なサイズに変換し、写真から正確なサイズを測定することができます。

また、タグを利用することで画像の歪み補正も可能にしました。工事現場では、足場の幅が狭く、吊りチェーンなどの障害物が多いため、対象物の真正面で撮影できないことが多いです。画像歪み補正をかけることで、多少斜めから撮影しても正面画像に調整し、正確な計測を可能にしています。

同システムを活用することにより、手動計測作業及び計測機材が不要となるため、ライト工業の施工現場で実際に使用したところ、作業時間が70%削減したとのことだ。

現在、ライト工業が受注している橋梁耐震補強現場に展開しており、改善点などを抽出し、バージョンアップしていくとしている。また、ライト工業にて外部への販売なども検討する予定だ。

IoTNEWS編集部

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