芝浦工業大学工学部・長谷川忠大教授(フィールドロボット研究室)と西武建設株式会社らの研究チームは、複数台の除雪車両に対応した除雪作業支援システムを開発した。
このシステムは、3次元マップ上に位置と姿勢を推定した除雪車両をリアルタイムで表示することのできるデジタルツインとなっており、除雪作業に必要な積雪の高さと山岳部の法面までの距離を表示することができる。
具体的には、除雪ブルドーザに取り付けたセンサから得た情報から車両の3次元位置と姿勢を推定し、PC端末のメモリ上に保存する。この情報を基に生成した車両モデルを、サイバー空間に構築した作業現場(3次元地図)上にリアルタイムに表示する。
また、作業中の他の除雪車両も同時に表示することにより、積雪等で視界不良となった際も、オペレータが除雪車両の位置を正確に認識することが可能だ。
さらに、このシステムを拡張して、複数の除雪車両間で情報を共有することができる。サーバを必要とせず、他の除雪車両から情報を読み出すことができ、常に3台の車両間で情報を共有する。システムは自律分散型で、どの車両が先に起動しても適切に動作することが可能とのことだ。
なお、2024年3月30日~4月2日に実施した除雪作業現場での検証実験では、この支援システムの有用性を実証することができたのだという。
2021年から現場実証実験をスタートし、現在の位置精度の確保やオペレータが使いやすいシステムを開発した。
今後は、機器などのハード面においては、現場作業員達だけで運用が可能となるように簡素化を図っていくとしている。
また、山岳地帯は携帯のキャリア電波が不通の区間が多く、データ送信のために通信網を整備して実験をしているほか、衛星通信「スターリンク」などの新しい通信技術を取り入れながら、データの不通を極力減らす方法を模索する計画だ。
さらに、3Dマップ上にガードレール・標識等の位置データを入れ、除雪時における物損事故の防止や、使用する全重機位置情報を離れた場所で統括管理し、AIなどを用いて重機配置を最適化することで生産性の向上を目指す。
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