三菱重工航空エンジン株式会社は、IoTデータを活用して目指す「不具合ゼロ」、「設備ダウンタイムゼロ」のスマートファクトリー実現のため、SAS Institute Japan株式会社(以下、SAS)のAIテクノロジーを活用したIoTデータアナリティクスプラットフォームを導入した。
これにより、データ準備・加工、機械学習を活用した高次元のモデルの開発/実行/管理を含む一連のアナリティクス・ライフサイクルを単一プラットフォームで実現し、業務プロセスの効率化および可視化を推進する。
三菱重工航空エンジンは、民間航空機に搭載されるターボファンエンジンの国際共同開発や部品製造、修理などを行っている。
世界の民間航空機市場は、新興国とLCC(格安航空会社)からの需要増加などにより、今後20年間で2倍以上となる5兆ドル規模へと拡大することが予測されている。
三菱重工航空エンジンの主力製品である航空用エンジンのタービンブレードも要求量が拡大しており、同社では増産体制の確保だけではなく、生産効率の向上のために業務プロセスの効率化・可視化の取り組みを進めることになったという。
従来、同社では、タービンブレードの製造において個別にRFID(無線識別)タグをつけて生産工程を管理してきたが、さらなる生産効率の向上のためセンサーデータに加えて工作機械の設定情報データなどを組み合わせた統合的なデータ分析による品質管理と設備保全が課題となっていた。
今回SASのAIテクノロジーを活用したIoTデータアナリティクスプラットフォームを導入し、タービンブレードの溶接工程における品質予測モデルと、モデル開発に革新的なAI・機械学習機能のアルゴリズムを組み入れた。
これにより、予測の精度および安定性が高まり、これまでよりもはるかに短い期間でモデルを作成し、各パーツを適時モニタリングし適合を判定することで不良部品を低減することができるようになるという。
また、燃焼器ケースの切削加工におけるチッピング (刃の欠損) の予兆検知も可能となり、ダウンタイムを低減。さらに、SASが提供する単一プラットフォームによりアナリティクス・ライフサイクル全体を回せる環境が整ったことで、三菱重工航空エンジンではセンサーデータの分析などの分析業務を内製化し、リードタイムの短縮を見込んでいるという。
【関連リンク】
・三菱重工航空エンジン(Mitsubishi Heavy Industries Aero Engines)
・SAS
無料メルマガ会員に登録しませんか?
IoTに関する様々な情報を取材し、皆様にお届けいたします。