FPGAのよさを活かした、「インテル FPGA PACソリューション」
山崎: マイクロソフトでも、インテルのFPGAを長年使っていただいています。同社ではサーバーにFPGAのカードをさしこみ、時間帯でアプリケーションを使い分けています。
たとえば日中では、検索エンジン「Bing」のアクセラレーターとして使います。しかし夜になると検索する人が減り、ワークロードが下がりますから、その分は夜のうちに処理したい別のデータの解析などにリソースを振り分けるのです。
小泉: 「インテル® FPGA PAC」を使ったソリューションには、どういう種類のものがあるのでしょうか。

山崎: ソリューションの開発は、パートナー企業と一緒に進めています。いくつか事例をご紹介します。
一つは、「データ分析」です。データベースの種類ごとにソリューションを提供しています。たとえば、Swarm64が提供している「PostgreSQL」というデータベースのソリューションでは、最大で55倍の分析パフォーマンスが出せます(上の図)。
このソリューションを使うと、データの入力から結果の出力までの平均的なパフォーマンスにおいては、その処理にかかる時間を約5分の1に短縮できます。これはつまり、データセンターのサイズが5分の1ですむ、ということになります。
小泉: それは相当大きな違いですね。他はどうでしょうか。
山崎: 次は、「メディア処理」です。最近では、スマートフォンやカメラで撮った写真をSNSに投稿することが、あたりまえになってきていますね。実は、そこで投稿する際には、かなり高度な画像処理がされています。
ユーザーはカメラやスマートフォンで写真を撮り、好きなサイズで画像をアップロードします。それを今度は、複数の人が異なるデバイスで閲覧します。その際、システム側はそれぞれの人が見るデバイスに合ったサイズに画像を加工して送信する必要があります。その画像処理が実は非常に重く、速やかに画像を公開するには、アクセラレーターの力が必要です。たとえば、CTAccelが開発したソリューションを使うと、従来の3~4倍の速度で処理できます。
小泉: 人工知能(AI)についてはどうでしょう。
山崎: 人工知能については、インテルが自社でソリューションを提供しています。使い方は簡単です。インテルとして、「OpenVINOTM ツールキット」というオープンな画像認識(ディープラーニング)のソフトウエア開発ツールを提供しています。Webページから無料でダウンロードできます。そこで、使用するハードウェアとしてFPGAを選び、サーバーにPACをさしこむだけで、画像認識のアプリケーションを利用できます。
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技術・科学系ライター。修士(応用化学)。石油メーカー勤務を経て、2017年よりライターとして活動。科学雑誌などにも寄稿している。