食品衛生法の改正に基づき、全ての食品等事業者は2021年6月までに「HACCP(※1)」に沿って運搬も含めた全工程での衛生管理体制(計画策定と記録保存を行い、工程の「最適化」「見える化」)を整備することが義務付けられる。また、医薬品においても、適正流通(GDP)(※2)ガイドラインが公布されるなど、輸送中における温湿度管理の重要性はますます高まっている。
株式会社AIoTクラウドは、テレマティクスサービス「LINC Biz mobility」による新たな支援として、食品や医薬品の輸送・流通に携わる事業者などに向け、位置情報とともに温湿度の測定・管理が可能なソリューションの提供を開始した。併せて、AIoTクラウドと旭化成株式会社が協業し、同ソリューションを活用した保冷ボックス輸送中の温湿度データ取得と鮮度算出に関する本格的なサービス展開に向け、さまざまな検証を進めることを発表した。
同ソリューションの主な特長は以下の通り。
- 既存の車両にも手軽に温湿度管理ソリューションの導入が可能
- 温湿度の異常検出・レポート作成機能により、事業者のHACCP/GDP対応を支援
- 保冷車だけでなく、保冷ボックスや配送用カート(カゴ車)の温湿度管理にも対応
同ソリューションは、GPSモジュール端末とセンサー親機を運転席などに、センサー子機を荷室に設置するだけで手軽に導入できる。車体や荷室への穴あけ工事などが不要で、既存の車両にも後付けで設置が可能だ。センサー親機と子機間は特定小電力無線局で接続し、荷室内から発信される子機センサーのデータを遮蔽物の影響を少なく受信できるので、従来は荷室を開けて手作業でデータを記録していたドライバーの負担も軽減する。
HACCPに沿った衛生管理のためには、食品等事業者による原材料の入荷から製品を消費者の手元に届けるまでの全工程において危害要因を把握し、除去・低減させることで製品の安全性を確保する必要があり、冷蔵/冷凍/生鮮食品などでは徹底した温湿度管理が求められる。
同ソリューションでは、「品質を確保するために管理すべき重要な指標」である荷物の温湿度を事業者が設定した「管理基準」にしたがって監視し、異常を検出した場合は管理者に通知する。また、時系列で記録された位置情報や温湿度の推移を表形式で簡単に出力することが可能だ。
倉庫などに加え、トラック輸送など移動中の衛生管理における流通事業者や食品事業者、運輸事業者の課題解決のほか、厚生労働省が発出した医薬品の適正流通(GDP)ガイドラインが定める「保管条件が輸送中も維持されていること」「温度逸脱時に卸売販売業者等に報告すること」といった規定の順守を支援する。
マスター設定された複数の親機に対して、温湿度センサーにあたる複数の子機をグループ化できる。子機を保冷ボックスや配送用カート(カゴ車)に設置することで、荷物の移動中にも各拠点やトラックの親機につながるので、車両単位の管理では難しい「小分けされた食品ごと」「出荷から売場まで」といった、より細分化された温湿度管理も可能になる。
事業者が保有する既存の流通管理システムへデータを送信することもできるので、上流から下流まで一貫した管理システムを構築したいコールドチェーン事業者に適するという。
※1 HACCP(Hazard Analysis and Critical Control Point)2021年6月に完全制度化される、食品等事業者が実施すべき食品の衛生管理基準。
※2 適正流通(Good Distribution Practices):医薬品の製造工場出荷後の流通過程における品質保証を目的とした指針
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