ウェアラブルデバイスは、健康管理や運動分析などへのニーズの高まりからスマートウォッチや耳装着型デバイス等を中心に市場が拡大している。2020年第2四半期の世界全体の出荷台数は前年同期比14.1%増の8,616万台、国内では同8.1%増の140.6万台に拡大している。
今後は、センサを使った子供やお年寄り、ペットなどの見守りや、新型コロナウイルスを踏まえたソーシャル・ディスタンスの確保、工場・農業作業の効率化など、さらに広い範囲で活用が期待されているが、そのためにはセンサから得たデータの送受信に不可欠となるBluetoothモジュールの小型化・軽量化が不可欠である。
Bluetoothモジュールは機器間をBluetoothでつなげるために必要なモジュールで、中でも「Bluetooth low energyモジュール」はより小型・低消費電力が求められるウェアラブルデバイス等に使用されている。
株式会社東芝は、東芝独自のSASP(Slot Antenna on Shielded Package)技術を搭載することで、小型のBluetooth low energyモジュールの開発に成功し、1月15日より同モジュールのサンプル出荷を開始する。
同モジュールは、身に着けていても気づかないレベルの小型(4mm×10mm)かつ軽量(約0.09グラム)を実現し、スマートウォッチや耳装着型デバイス等のウェアラブルデバイスだけでなく、スポーツウェアや洋服のボタン、洋服自体への組み込みなど様々な分野にも利用範囲を拡大することができる。
さらに、同モジュールにはノルディック・セミコンダクター株式会社製Bluetooth IC(nRF52811)を搭載している。Bluetooth最新規格であるver5.2に対応しており、低消費電力で最新機能を適用したいアプリケーションに適する。また、ARM Cortex-M4を内蔵しており、Bluetooth®プロトコルスタックだけでなく、ミドルウェアおよびアプリケーションもモジュール内で動作可能だ。
同モジュールにより、製品の小型化に加え、無線製品を開発する際に生じる技術課題をワンパッケージで解決する。また、SASP技術を用いることで従来のアンテナ周辺の配線禁止エリアが不要となり、電池やセンサ等のモジュール周辺部品の配置の自由度が向上する。さらに、シールドパッケージの生産には既存の製造技術を用いているため、低コストで製造することができる。
東芝は今後、各種アプリケーションへの適用を進め、2022年の量産開始を目指すとしている。
※1 スロットアンテナ:モジュールを覆うメタルケース(シールドパッケージ)にレーザで溝を掘りアンテナとする技術。
※2 シールドパッケージ:不要な電波を出さないためにモジュールを覆うメタルケース。
※3 高速水晶振動子:メインクロック用。発振周波数:32MHz。
※4 低速水晶振動子:低消費電力モード用。発振周波数:32.768KHz。
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