近年、世界各地で海難事故が多発しており、座礁事故は重大な海難事故に該当する。現在、海運業界では浅瀬の航行は船舶に任せられているが、船員の業務負担増によるヒューマンエラーの発生が事故の一因であると言われている。このことから、船舶の動静や航海リスクを監視する陸上の運航管理者が船舶の座礁リスクを把握していきたいというニーズが出ている。
しかし、現在は陸上から船舶の座礁リスクを把握するシステムは存在せず、多くの船舶からリスクのある船をリアルタイムに検知することが難しく、課題となっている。
株式会社ウェザーニューズは、重大な海難事故の一つである座礁事故への対策を支援するため、海運業界向けに「NAR(Navigation Assessment&Routeing)サービス」を開発し、2021年5月より提供開始予定と発表した。
NARは、陸上の運航管理者や関係各社に対して、船舶の座礁の危険性を自動検知して通知するサービスである。航海前・航海中の航路データや船舶の位置をリアルタイムに監視し、船舶が浅瀬や漁船混雑エリアなどの座礁の危険性の高い区域への接近を計画した場合、もしくは実際に接近・航行した場合に、船舶および運航会社、船主などに自動でアラート通知する。
船舶の航海計画やウェザーニューズ独自の航路データと、世界中の独自の風、海流、波などの気象・海象データ、2分間隔の船舶の位置情報や海図、航行警報、独自の座礁リスク区域データベース(※)など、航海に必要なナビゲーションデータを組み合わせて監視することで、航海計画からの乖離や座礁事故発生の可能性を事前に検知する。航路データは、船舶の航海計画に加えて年間1万隻の船舶を支援するウェザーニューズ独自の航路データも使用する。
今後は、台風接近時の強風による走錨リスクや、荒天時の船体動揺リスクなどの通知も追加し、NARを座礁対策だけでなく走錨や動揺など様々な航海リスクへの対策支援まで拡張するとのことだ。
※ 座礁リスク区域データベース:ウェザーニューズが独自に作成した世界の全ての海域における座礁リスクがある区域データ。水深20mを目安に過去に船舶が航行していない区域を特定する。
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