Wi-Fi通信は、人々の日常生活に欠かせない通信手段となっている。このWi-Fi空間をより一層活用する動きが高まっている。GPS電波を受信することが困難な屋内空間での位置測位は、非常に需要が高く、各社からWi-FiやBluetoothの電波を活用した測位ソリューションが提供されている。
一般に、測位可能な空間の構築は複数の基地局を敷設することで実現される。しかし、各基地局の設置場所を慎重に選定のうえ設置・配線工事を行うなど、多大な労力を強いられる場合が多く、導入の敷居が高いという課題があった。
また、測位結果を他のシステムと連携するためには、複雑なシステムインテグレーションが必要となる。さらに多くの測位ソリューションは、通常のWi-Fiインフラとは独立して提供されるため、Wi-Fi構築とは別に導入費用が必要となる問題もあった。
PicoCELA株式会社は、測位機能のAPI化を主とするPicoCELA APIコンポーネントパッケージの提供を開始した。同パッケージの主な特長は以下の通り。
- 認可機構と秘匿機構を兼ね備えたエンタープライズ仕様のAPI群
- BLEタグの測位にも対応
- 測位精度向上の手間を低減
- Web APIによりシステムインテグレーションの手間を削減
- スマホアプリでも利用可能
- Wi-Fi通信エリアも同時に提供
- 他社連携の幅を広げるAPI群
特に測位APIに関しては、Wi-Fi端末の接続先アクセスポイント(PicoCELAデバイスが兼ねる)あるいはBLE端末から発せられる電波強度を複数のPicoCELAデバイスで観測、これらのデータ群をPicoManagerで集約し、同端末の測位を行い、結果をAPIとして提供する。OAuth2.0に準拠した認可の機能を搭載することで、組織単位の情報保護・管理機構を実現する。
オプションのBluetoothマスタードングルをPicoCELAデバイスに装着することで、BLEタグの測位にも対応できる。
各PicoCELAデバイスはWi-Fiメッシュ機能を有しており、LANケーブル配線を削減しつつ、高い設置自由度のもとで配置できるという。測位精度を決定づける基地局の設置場所や設置密度も容易に調整が可能、測位精度向上にかかる調整の手間を低減する。
PicoCELAのAPIコンポーネントパッケージはすべてWeb APIとして提供される。他のソリューションとのインテグレーションも、簡易に実現できる。
ネットワーク側のみならず端末側のアプリでも測位APIを含むすべてのAPIを自由に活用することができる。PicoCELAデバイスで形成されたWi-Fi空間に接続するスマホから同測位APIを呼び出すことでスマホ自身の位置情報を得ることもできる。
各PicoCELAデバイスはエンタープライズグレードのWi-Fiアクセスポイント・ルータ機能も搭載している。測位エリアを構築するのみならず、通常のWi-Fiアクセスエリアも同時に提供する。
各PicoCELAデバイスに接続する端末の接続情報や無線パラメータ設定など、測位以外の様々な機能もWeb APIとして提供する。これにより、Wi-Fi空間を単なるスマホとインターネットとの橋渡し役でなく、より高い付加価値を持った付加価値提供空間が可能となるとのこと。
同測位APIを活用することにより、例えば、様々なIoT機器や資機材が運用されている広大なキャンパスを有するプラントにおいては、PicoCELAデバイスをキャンパス全域に張り巡らし、各機材にBLEタグを貼付すれば、これら資機材の位置をモニタリングすることができる。
また、オフィスでの勤怠管理システム、ショッピングモールでのPOSデータ管理、倉庫や流通センターでの在庫管理、駐車場でのパーキングロット管理などのクラウドシステムが同測位APIを活用することで、端末位置情報という新たな情報を把握できる様になる。
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