物流現場や、製造現場では、無人搬送車などの活用や、高度なオートメーション化などによりラインの省人化が進む一方、アナログで管理されているものも存在している。そのため、デジタル化されていない既存設備の劣化兆候がつかみきれず、突然の停止を招き、稼働率の低下を引き起こしている。状態基準保全の観点から、既存設備に後付けできる小型さと、現場で起きる出来事を複数ヵ所同時に測定し、高速かつ高精度にデジタル化するニーズが高まっている。
また、世界中でEV、PHV、FCVなど自動車技術革新が起きている。自動車の電池を含む部品開発、環境・性能試験では、信頼性の高いデータを取得することが品質に直結するため、複数センサのデータを高速かつ高精度に同期測定する必要がある。
横河電機株式会社は、OpreX Multi-Sensing Remote I/O(マルチセンシングリモートI/O)をOpreX Componentsのラインアップとして開発した。
Multi-Sensing Remote I/Oとは、複数のセンサから正確にデータ得てデジタルに変換し、モニタリングを行う上位システムに転送する装置である。その第一弾として、アナログセンシングユニットVZ20Xを8月31日からアジア太平洋地域および中東を中心とした64の国や地域にて発売する。
VZ20Xは、最大120チャネルのアナログセンサのデータを高速、高精度、高耐ノイズで同時収集することができる、世界最小クラスのセンシングリモートI/Oである。高さ×幅は名刺より小さく、200g以下と軽量で、生産設備の隙間などに収まるサイズだ。プッシュイン式接続で、フェルール端子を差し込むだけで取り付け可能な上、USB(TypeC)で給電できる。
また、アナログ入力を高速1ミリ秒(0.001秒)サンプリングで測定することができる。入力チャネル間は絶縁されているため、ノイズ環境でも正確なデータが測定できる。さらに、直流電圧、統一信号、抵抗、熱電対(TC)、3線式/4線式測温抵抗体(RTD)が1台で測定できる。これらに対応したアナログセンサを使うことで、例えば、電圧、温度、湿度、圧力、振動など様々なデータを測定できる。
これらの機能により、例えば、既存の製造現場で横河電機独自のAIと組み合わせることで、設備異常やその予兆を早期に発見でき、設備の状態に合わせて適切なタイミングでメンテナンスを行うこと(CBM:Condition based maintenance、状態基準保全)が可能になる。また、電気自動車(EV)、プラグインハイブリッド車(PHV)、燃料電池自動車(FCV)の車載電池を含む部品開発においてデータを把握することができる。
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