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NTT・NTTデータ・香味醗酵、少数の匂い成分から膨大な匂い・香りを作り出す組合せ最適化に関する実験を開始

ヒトの嗅覚による匂いの情報を可視化する方法として、ヒトの主観となる官能試験があるが、試験官の体調や加齢による衰えに影響され、どうしても結果がぶれてしまうという問題がある。また、これまでの匂い検知センサーでは特定の匂い成分しか検知できない、匂い成分の分析装置ではヒトの匂いの感覚と無関係な成分まで検出してしまうという問題があり、既存の匂い解析技術では、ヒトの匂いの感じ方を定量化(数値化)することは困難だった。

そこで、株式会社香味醗酵は、ヒトが感じる全ての匂いの情報を、デジタルデータ(匂いコード:約400の波形データ)として記述する独自技術(※1)と、この技術を用いた匂いデータベースを構築し、求める匂いを少数の匂い分子を組み合わせて再構成する技術(※2)を開発する。これにより、匂い情報の記録、保存、転送、再現が可能となり、香料業界の変革だけではなく、映像産業やメタバースに匂い情報を実装し、新たな産業の創出が期待できる。

しかし、匂いの再構成には40万種類以上存在する匂い分子の匂いコードを組み合わせて、かつ経時的変化(波形データ)の形状までそろえる必要があるため、膨大な組み合わせに対する試作と評価を何度も繰り返す必要がある。

このほど、日本電信電話株式会社(以下、NTT)と株式会社NTTデータ、香味醗酵は、NTTが開発を進める次世代光イジングマシンLASOLV(※3)とNTTデータのデータ分析技術を活用し、香味醗酵が保有する数千種類の匂い成分から最適な組み合わせを計算することで、少数の匂い成分でさまざまな匂い・香りを瞬時に再構成する実機検証を2022年11月より開始した。

同共同実験では、求める匂いを定量的に構成するために、匂いデータベースにある別の匂い分子の中から最も適切な組み合わせを算出する「匂い分子の組合せ最適化」について、NTTの光イジングマシンLASOLVおよびNTTデータの分析技術を用いた最適化計算を適用する。

これまでの実験プロセスに対して、光イジングマシンLASOLVの計算力と、NTTデータにおける交通・製造・金融などのビジネス分野などで培った数理モデルの構築技術を同分野に展開することで、選定される解候補の精度が向上し、どれだけ開発期間の短縮につながるのか、より良い香料が生み出せるのか、従来手法との比較評価を実施する。

香味発酵が保有する数千種類の匂い分子による組み合わせは膨大な数におよび、この組み合わせ計算を光イジングマシンLASOLVにより最適、かつ高速に行う。なお、同共同実験は、2023年3月末をめざして実施するとしている。

同共同実験における各社の役割は以下の通り。

  • NTT:光イジングマシンLASOLVの高度化を目的とした設備提供、計算評価
  • NTTデータ:香料分野における分析技術習得を目的としたデータ分析技術の提供
  • 香味醗酵:匂いの再構成による事業創出を目的としたデータ提供、比較評価

※1 匂い分子をデジタルデータとして記述する独自技術:これまでの匂いセンサーは、約40万種類以上ある全ての匂い分子を検出できる人工のセンシング素子が存在しないため、特定の匂い分子しか検出できなかった。また、単純な匂い(単純臭)の検出は得意だが、世の中に多く存在する匂い分子の混合物(複合臭)の検出は非常に困難だった。香味醗酵では、ヒト嗅覚を支えるセンシング素子である嗅覚受容体全て(約400種類)をセンサー化し、各受容体の匂いに対する経時的な応答波形を匂いコードとした。
※2 求める匂いを少数の匂い分子を組み合わせて再構成する技術:求める匂いが、どんなに複雑な複合臭でも、ヒト嗅覚受容体センサーで測定すると、顕著に応答する嗅覚受容体は多くても10種類程度である。そこで、求める匂いの匂いコードの応答波形を、各嗅覚受容体をそれぞれ刺激する匂い分子の匂いコードを用いて、応答波形を再現するように組み合わせて混合すれば、求める匂いに含まれない匂い分子でも、同じ匂いが再構成可能になる。
※3 光イジングマシンLASOLV:NTTが研究開発に取り組む、新しい原理に基づいた計算装置。LASOLVは常温で利⽤可能で、複数のパルス光の位相の組合せ、「光の物理現象」でイジングモデルを模擬し、解の候補が最適に近いほど位相の組合せの変化が少なくなる(=安定する)といった相互作用を作り出すことで解を導出する。LASOLVは組合せ最適化問題を極めて高速に解くことが可能であるため、これまでは解くことができなかった課題の解決が期待される。

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