三菱電機株式会社が2019年より展開している、人・物の識別、行動把握を実現するサーマルダイオード赤外線センサー「MelDIR」は、これまで国内を中心に高齢者施設での見守り分野や空調機器に搭載されるセンサーとして、測定可能な温度範囲が-5℃~+60℃で使用されていた。
市場では、これらの分野以外にも、高温の対象物を取り扱う際の安全管理や快適な作業環境づくりを目的として、高温になるキッチンや工場設備の温度分布などの把握に対するニーズがあり、高温域を含む広範囲な温度分布の測定が可能な赤外線センサーが求められている。
このほど三菱電機は、MelDIRの新製品として、200℃まで温度測定が可能な「MIR8060B3」のサンプル提供を2023年2月1日に開始する。なお、発売は2023年5月を予定している。
MIR8060B3は、信号処理とレンズの最適化により、従来製品では検知できなかった60℃以上200℃までの温度が測定でき、高温となる調理中の具材や調理器具、工場設備などの温度分布測定が可能となった。また、78º×53ºの広画角と80×60画素の高画素により、広範囲な温度測定、人・物の識別や行動把握をより高精度に実現できるようになった。
検知可能な温度範囲の拡大により、キッチンではコンロ全体の温度分布だけでなく、コンロ前の人の有無も検知できるため、発火予防など安心・安全な調理空間の実現に貢献する。工場の高温設備監視では、より広範囲で温度分布の測定ができ、人の有無や行動把握と設備の高温分布検知を同時に行うことにより、設備の異常検知などの工場オペレーションの最適化や安全性改善が可能となる。
さらに、キッチン、設備監視市場における熱画像例や、従来よりも小型で扱いやすいデモキット、ソフト・ハードウエア設計に必要な情報を、リファレンスデザイン(※)など各種ツールとして提供する。これにより、ユーザーの製品企画やサンプル評価などをサポートし、製品開発期間の短縮に貢献する。
MIR8060B3での測定事例は以下の通り。
- 図2-1
- 図2-2
- 図2-3
- 図2-4
炒め物で、炒めているときの具材の温度分布を測定。火加減の強弱を検知し、調理具材の温度分布の見える化が可能。
揚げ物で、具材を油に入れたときや、揚げ終わった後の油や具材の温度測定が可能。
ゆで物で、具材投入によるお湯や具材の温度変化を測定可能。
高温な物体(例:アイロン)の温度測定とユーザーサポートツールを用いた人検知を同時に行うことが可能。
※ リファレンスデザイン:ソフトウエア、ハードウエアの設計に必要な設計情報。
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