株式会社安川電機は、モーション性能とデジタルデータソリューションを特長とするACサーボドライブ「Σ-X(シグマ・テン)」シリーズにおいて、標準品のサーボパックに、ユーザの装置や用途に応じた機能を追加して「FT仕様」として販売している。
そして本日より、FT仕様の一つとして、センシングデータのカスタマイズ機能を備えたΣ-XシリーズFT55/FT56仕様を販売開始することを発表した。
T55/FT56仕様は、コントローラ用エンジニアリングツールMPE720を用いることで、サーボ内にユーザがアプリケーション(プログラム)を組むことができるユーザカスタマイズ機能を付加した製品だ。
ユーザカスタマイズ機能を用いることで、サーボドライブ内でセンシングデータの収集や一次解析に加え、モーション制御へのフィードバックを行うことができる。
この機能により、上位コントローラの処理負荷を軽減するとともに、上位コントローラの処理周期やネットワークの遅延に依存しないモーション制御を高速に行うことが可能となる。
また、T55/FT56仕様は50Wから15kWまでの容量帯のサーボパックに対応している。FT55はMECHATROLINK-4通信指令およびMECHATROLINK-Ⅲ通信指令、FT56はMECHATROLINK-4通信指令のみ対応可能だ。
主な用途は、半導体・液晶製造装置、電子部品実装機、金属加工機、包装機や産業用ロボットなどが挙げられており、一般産業機器全般で利用することができる。
FT55/FT56仕様の主な特長
センシングデータカスタマイズ機能(FT55/FT56仕様共通)
センシングデータカスタマイズ機能は、サーボ内で実行するユーザアプリケーションで、サーボ パックのセンシングデータを収集し一次解析する機能だ。
FT55/FT56仕様では、センシングデータ(位置/速度/トルクに関するデータ、サーボモータやサーボパックの稼働状態のデータなど)を最速125μsで高速に収集できるとともに、センサーネットワークΣ-LINKⅡに接続された外部センサからのデータも、サーボパックの制御周期に合わせてユーザアプリケーションで収集可能。
これらのセンシングデータを用いて精度の高い解析(最大値・最小値の検出、イベント回数のカウント、状態監視)を行い、装置に最適なデータにカスタマイズして上位コントローラへフィードバックすることで、装置の予防保全や生産品質向上に貢献する。

機器間データ共有機能(サーボパック間)(FT55/FT56仕様共通)
サーボパック間の機器間データ共有機能は、同じMECHATROLINK-4ネットワークに接続された他のサーボパック(FT55仕様またはFT56仕様)のセンシングデータを伝送周期ごとに、サイクリックに共有する機能だ。
1軸あたり32byteのデータを最大5軸まで共有可能。サーボパック間のデータ共有機能を活用することで、他のサーボパックの位置情報や稼働状態が把握できる。これにより自軸だけではなく、他軸を含めたより高度なセンシングデータの解析が可能となる。

カスタムモーション機能(FT56仕様のみ)
カスタムモーション機能は、サーボ内のユーザーアプリケーションから直接モータを制御できる機能だ。コントローラMP3000シリーズのカスタム動作モーションコマンドが指令されている間、サーボパックが独自にモーション制御(位置決め、定速送り、補間制御、速度制御、トルク制御)を実行することができる。
サーボが自律して動作することで上位コントローラの処理負荷を軽減するとともに、上位コントローラの処理周期やネットワークの遅延に依存しない高速なモーション制御が行える。
また、サーボパック間の機器間データ共有機能およびセンサネットワークΣ-LINKⅡに接続された外部センサを利用し、複数軸で連携したモーション制御を実現している。

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