東芝デジタルソリューションズ株式会社は、同社が提供するプライベートブロックチェーン「DNCWARE Blockchain+」を活用した電子契約システムの提供を、2023年5月9日から開始する。なお、この電子契約システムは、長崎市に導入され、今年の6月から本格運用が開始される予定だ。
今回発表された電子契約システムは、東芝デジタルソリューションズ独自のブロックチェーンを活用して契約をデジタル化しており、国や地方公共団体での発注者・受注者間の契約手続きを対象にしている。
長崎市とは、2021年9月から1年間、電子契約システムによる契約事務手続きの改善と実用性について連携して検証した。
その結果、事務処理時間の削減、収入印紙額の削減、テレワーク実施体制の環境整備などの導入効果が認められ、今回のシステム導入に至ったのだという。
従来、電子署名で利用する秘密鍵は、特定認証業務で取り扱う必要があり、秘密鍵を入手するためには個人や法人を確認する書類が必要であった。また、電子署名の利用はPDFやOfficeファイルに限定されており、図面、写真などは利用できなかった。
そこで同社は、ブロックチェーンの暗号化技術により、電子入札で利用している電子証明を内蔵したICカードや、ID・パスワードと紐づけられた秘密鍵(ウォレット)を用いて、手間や新たなコスト負担なく利用できる電子契約システムを構築した。
また、本電子契約システムでは、PDFやOfficeファイルなどのファイル形式に対応している。契約に必要なさまざまな添付書類、契約後の各種文書(書類や図面、写真など)の提出においても、電子署名してブロックチェーンに記録を残すことが可能になる。
さらに同社は、一般財団法人日本建設情報総合センター(JACIC)が提供する電子入札コアシステムを利用した電子調達システムを20年間提供しており、今回の電子契約システムはこの電子調達システムと連携することができる。

今後は、国や地方自治体に向けて、ブロックチェーンを活用したアナログ的規制緩和への提案や、DX推進に寄与する各種システム提供を拡充していくとしている。
電子契約システムの特長
業務の流れを止めない仕組みを提供
電子調達システムで利用しているICカードや、ID、パスワードでログインでき、これまでのシステムの延長線上で電子契約を利用可能。電子調達システムと連携することで、発注者、受注者ともに契約案件一覧の確認や、個々の契約ステータスをシステム上で確認することができる。また、ICカードを使わない場合でも秘密鍵(ウォレット)を使って電子契約することができる。
必要な書類の整理・共有と合意情報をブロックチェーンに記録
契約区分や契約内容に応じた必要書類、各種様式をテンプレートとして指定可能。これにより、契約締結に必要な書類を、発注者は漏れなく提示でき、受注者は提示された様式を入手できる。また、契約書以外の各種添付書類についても電子署名をしてブロックチェーンに記録することができるため、受注者から提出する際に紙への押印は不要となる。
契約事務に必要な機能を実装
建設業法および電子署名法についての適法性を、グレーゾーン解消制度にて確認されている。契約事務で必要とされる、差戻、契約辞退・解除などの機能実装や、三者間契約や共同企業体(JV)などの契約にも対応している。
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