大日本印刷株式会社(以下、DNP)とUltimatrust(アルティマトラスト)株式会社は、物流倉庫や飲食店などで稼働する自律走行搬送ロボット(Autonomous Mobile Robot:AMR)の経路を最適化するアルゴリズムと、その導入効果を検証できるシミュレータを開発した。
Ultimatrustは、設置した多様な情報機器から取得したデータを集約し、AIで解析を行うシステム「Wisbrain(ウィズブレイン)」を提供している。
今回、このシステムに、膨大な選択肢から最適な解を抽出する「組合せ最適化問題」を高速で処理する「DNPアニーリング・ソフトウェア(DAS)」を搭載した。
DASは、量子コンピュータで用いられるアニーリング手法を、GPU(Graphics Processing Unit)を利用した並列計算により、高速化したソフトウェアだ。
これにより、常に変化するAMRや障害物等の位置を把握して最適な移動経路を短時間で計算し、AMRの稼働率を高める。
また、シミュレータにAMRの台数や稼働領域マップ、経由地などの条件を設定することで、このアルゴリズムの効果を検証することができる。
今後両社は、物流倉庫や製造・物流関連の企業、飲食業界などに向けて、PoCなどを通じて、ロボット導入による効果検証を示していくほか、2023年度中に、このアルゴリズムを用いたAMRの経路最適化システムを開発し、提供していくとしている。
アルゴリズムとシミュレータの特長
AMRの移動距離を短縮
DNPのDASを活用し、現場の環境やロボットの稼働状況などの膨大な選択要素の中から、「AMR同士の衝突回避」や「現場全体での高効率なロボットの動作順序」などの条件を加味して、最適な搬送経路を提示する。
今回の開発にあたり、125×200mの倉庫内でランダムに抽出した8つの経由地を各AMRが通るという条件で、10台のAMRをシミュレータ上で稼働させたところ、最短経路を導くために従来から使われているダイクストラ法と比べて、AMRの移動距離が約34%短くなった。
突発的に発生した障害物に対応可能
物流倉庫や飲食店などでは、ロボットの経路上に障害物が突発的に発生する場合がある。
今回開発されたアルゴリズムでは、「Wisbrain」を通じてカメラやセンサから得る障害物の情報を活用することで、経路をリアルタイムで再探索できる。障害物の存在を前提に経路を提示するため、衝突や停止の事前防止につながる。
AMRのさまざまな作業環境に広く対応
物流倉庫や製造工場、飲食店など、AMRが導入されるさまざまな環境に対応可能。
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