現在、多くの小売電気事業者は、日々の電力需要を予測し、需要計画を立てて、小売事業を行っている。また、発電事業者も同様に、日々の発電量を予測して、発電計画を立てて、発電事業を行っている。
この際、電力の需要や供給(発電)の計画と実績が一致しなければ、インバランスが発生して、電力ビジネスの収益性に影響を与える。
そこで、大阪ガス株式会社は、独自の気象予測技術とAIを用いた「気象予測関連技術」を活用して、電力需要や発電量を予測する「AI気象予測関連サービス」の提供を2023年7月1日より開始した。
なお、このサービスの提案・販売は、大阪ガスの100%子会社である関西ビジネスインフォメーション株式会社が行う。
「AI気象予測関連サービス」は、気象予測関連技術により、電力需要、太陽光・火力発電量の予測を行い、予測データを電気事業者向けに販売するものだ。

これにより、電気事業者の日々の業務の効率化に加え、発電(需要)計画値と実績値の差分(インバランス)の低減による収支改善などに貢献することが期待されている。
既に、複数の大手エネルギー企業と電力需要予測を提供するための契約を締結しており、7月1日からサービスの提供を開始した。
なお、「AI気象予測関連サービス」は、3つの予測サービスを提供する。
一つ目は電力需要AI予測で、送配電事業者の系統需要や、小売電気事業者の顧客需要を予測する。
電力需要に大きな影響を与える気温などの気象予測データと、曜日などの情報から、過去の気象情報と電力需要実績の相関などを学習したAIが予測を行う。

二つ目は太陽光発電量AI予測で、太陽光発電所の発電量を予測する。
発電量に大きな影響を与える日射量などの気象予測データと、発電所所在地や発電設備などの情報から、過去の気象情報と発電量実績の相関などを学習したAIが予測をする。
三つ目は火力発電量AI予測で、天然ガスなどを燃料とするガスタービン式火力発電所の発電量を予測する。
発電量に大きな影響を与える空気の密度を決定する気温、気圧などの気象予測データと、発電実績や運転条件に関する情報から、過去の気象情報と発電量実績の相関などを学習したAIが予測する。
大阪ガスは現在、独自の気象予測関連技術を活用した鉄道分野、農業分野、建設工事分野でのサービス開発・実証・試運用を進めており、今後これらの有償サービス化も目指しているのだという。
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