ローム株式会社は、距離測定・空間認識用LiDAR(ライダー)を搭載する、産業機器分野のAGV(無人搬送車)やサービスロボット、民生機器分野のロボット掃除機などに向けて、高出力半導体レーザダイオード「RLD90QZW8」を開発した。
「RLD90QZW8」は、3D ToFシステムを用いて距離測定や空間認識を行うLiDAR向けに開発された、赤外120W高出力レーザダイオードだ。独自の素子開発技術により、レーザ波長の温度依存性を一般品比66%減となる⊿11.6nm(平均0.10nm/℃)まで低減させている。
これにより、特定の光の波長帯の信号だけを通過させる「バンドパスフィルタ」の狭小化に寄与するため、LiDARの遠方検知に貢献する。
また、発光幅は270µmで、発光幅の97%にあたる264µmの領域で、均一な発光強度を実現している。さらに、高い電力光変換効率(PCE)も実現しており、高効率な光出力が可能となることから、LiDARの低消費電力化にも貢献する。
その他、「RLD90QZW8」の評価・導入に必要となる駆動回路の設計手法を記載したアプリケーションノートや、基板開発用のデータ、シミュレーション用のモデル(SPICEモデル、Rayデータ)などの設計データを、ローム公式Web上に無償公開している。
LiDAR用途でのレーザダイオード駆動には、ナノ秒オーダの高速スイッチングも必要となるが、ロームが開発したEcoGaNシリーズの150V GaN HEMT、及びゲートドライバを組み合わせたリファレンスデザイン「REFLD002」も、ローム公式Web上で公開している。
「RLD90QZW8」は、2023年9月よりサンプル出荷を開始(サンプル価格3,500円/個:税抜)しており、2023年12月より当面月産20万個の体制で量産を開始する予定だ。なおサンプルは、インターネット商社のコアスタッフオンライン、チップワンストップからも販売している。
現在ロームは、製造工場において前工程・後工程とも車載品質マネジメント規格のIATF 16949を取得し、車載対応(AEC-Q102準拠)に向けたレーザーダイオードの製品開発も進めており、2024年度中の製品化を予定している。
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