PFN、深層学習用プロセッサMN-CoreをMatlantisの深層学習モデルの計算基盤として実装

株式会社Preferred Networks(以下、PFN)は、神戸大学と共同開発した深層学習を高速化するプロセッサ「MN-Core」を、汎用原子レベルシミュレータ「Matlantis」の深層学習モデル(PFP)の計算基盤として実装し、「Matlantis」の販売をおこなう株式会社Preferred Computational Chemistry(以下、PFCC)を通じて、ENEOS株式会社に提供を開始した。

MN-Coreシリーズは、PFNが神戸大学の牧野教授グループと共同開発した、深層学習の特徴である「行列演算」に最適化した専用チップだ。

チップの演算器数を最大化するため、ネットワーク制御回路やキャッシュコントローラ、命令スケジューラなどの機能を内包せず、コンパイラにその機能を持たせて最小限の機能に特化している。

「Matlantis」は、PFNとENEOSが共同開発した、原子スケールで材料の挙動を再現して、大規模な材料探索を行うことのできる汎用原子レベルシミュレータだ。

従来の物理シミュレータに深層学習モデルを組み込むことで、計算スピードを従来の数万倍に高速化するとともに、領域を限定しない様々な物質への適用を可能にしている。

今回発表された「MN-Core」を計算基盤とする「Matlantis」は、2023年8月からクラウド経由でENEOSに提供され、分子動力学計算を使った密度・粘度・熱伝導・比熱などの物性データ生成などの実際のワークロードにおいて、安定して3倍程度高速化されるなどの有用性が確認されている。

「Matlantis」は、材料探索に対応するため、複数種のGPUなどを組み合わせたシステムを構築している。「MN-Core」を「Matlantis」の計算基盤として使用することにより、PFNはハードウェアから深層学習アーキテクチャまでチューニングを行い、材料探索シミュレーションに最適化した計算資源を提供する。

また、「MN-Core」による「Matlantis」の高速化で、これまで以上に現実世界に即した複雑な材料探索シミュレーションが可能になる。

今後PFNは、深層学習を高速化する計算基盤として「MN-Core」および後継機の「MN-Core 2」の開発を進め、クラウド提供を拡大していくとしている。

PFN、深層学習用プロセッサMN-CoreをMatlantisの深層学習モデルの計算基盤として実装
MN-Core 2

なお、MN-Coreシリーズは、2023年10月17日~20日に幕張メッセで開催される「CEATEC Japan」において、「アドバンステクロノロジー部門 準グランプリ」を受賞し、PFNブースにて、「MN-Core」サーバを使って材料探索をリアルタイムで行うデモと、後継機の「MN-Core 2」が展示される。

さらに、今後のMN-Coreシリーズの開発ロードマップを、「CEATEC Japan」のPFN 代表取締役社長 最高経営責任者西川徹氏の講演にて発表予定だ。

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