ビジネスエンジニアリング株式会社(以下、B-EN-G)は、鈴与株式会社の安全管理プロセスの高度化を目指し、自然言語解析技術を用いたデータマイニングシステムを開発し、その支援を始めた。
鈴与は、2018年にB-EN-GのiPad利用ソフトウェア「mcframe RAKU-PAD」を導入し、紙で運用していた各種報告や巡視活動をデジタル化してきた。
このシステムを運用することで、全国の物流センタの安全性や品質の目標達成度のばらつきを把握することができ、また類似の事故報告が繰り返されている物流センタを特定することも可能となった。
蓄積したデータを自然言語解析することで、管理者の気づきや事故防止対策のバラツキをなくすことを目指し、B-EN-Gにデータ分析を依頼した。その結果、事故の危険度を探索し、対策の有効性を導き出すことができた。この成果を受けて、データマイニングシステムの構築に着手したのだという。
このデータマイニングシステムにより、類似する帳票の特定や有効な対策の実施例の発見、危険度を示唆するキーワードの抽出、ヒヤリハットや事故の件数・割合の把握などが可能となる。
さらに、大量の過去帳票から類似した帳票を即座に特定することが可能となり、新たな対策立案時の業務負荷を軽減できる。また、経験値ではなく数値を元に判断し、指導や教育も行えるようになる。
なお、データマイニングシステムでは、データ分析基盤としてはMicrosoft Azure、分析ツールとしてはSAS Viya、可視化ツールとしてはPower BIを採用している。
鈴与の今後の方針としては、データマイニングシステムを活用できる担当者を育成し、データを活用した活動を推進することで、組織全体でのデータドリブン経営を定着化させることを目指す。また、蓄積したデータの収益性向上や物流データの価値化など、他分野での活用も目指すとしている。
B-EN-Gは、今後も鈴与の安全品質管理プロセスの高度化を支援し、あらゆる支援サービスを提供する予定だ。
鈴与の3PL事業推進室長である川合氏は、「RAKU-PADに蓄積されている各種安全品質データの規則性、因果関係、相関関係といった点を解析し、予防活動に繋がる示唆を得続ける事で、安全・品質の向上(事故・誤出荷防止)や安全・品質活動の質向上に繋げたい。
現状、経験則重視の安全施策、Excel業務を中心としたデータ分析を通して得た情報と根拠をもとに意思決定しているが、より迅速に、より正確な意思決定を図ることが期待されることから、今回RAKU-PADに格納したデータ+αを連動させ、自然言語解析や機械学習を用いて、より正確な対策を策定できるシステムをB-EN-G様に構築して頂いた。引き続き、B-EN-G様には本システムを活用した分析定着化や運用保守についての支援を期待している。」と述べている。
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