オーストラリアのPawsey Supercomputing Research Centre(以下、Pawsey)は、NVIDIA Grace Hopper Superchipで駆動されるNVIDIA CUDA Quantumプラットフォームを、National Supercomputing and Quantum Computing Innovation Hubに追加し、量子コンピューティングの研究を促進すると発表した。
NVIDIA Grace Hopper Superchipは、NVIDIA Grace CPUとHopper GPUのアーキテクチャを組み合わせたもので、アクセラレータ上で量子シミュレーションを実行する。
Pawseyは、シミュレーションツールと、ハイブリッドCPU、GPU、QPUシステムをプログラムする能力を備えたオープンソースのハイブリッド量子コンピューティングプラットフォームであるCUDA Quantumや、量子コンピューティングワークフローを高速化するための最適化されたライブラリやツールを含むNVIDIA cuQuantumソフトウェア開発キットを活用する予定だ。
従来のハイパフォーマンスコンピューティングシステムから量子ワークロードを直接実行するシステムを導入し、その処理能力を活用する。
なおPawseyは、NVIDIA MGXプラットフォームモジュール式アーキテクチャに基づくNVIDIA Grace Hopper Superchipノードを8台導入している。
これにより、GPUとCPU間の帯域幅が最新のPCIeテクノロジと比較して7倍向上する。さらに、テラバイト級のデータを扱うアプリケーションのパフォーマンスが最大10倍向上する。
また、量子デバイスを使用して計算効率を向上させ、計算を古典カーネルと量子カーネルに分割するハイブリッドアルゴリズムを開発する予定だ。
研究対象は量子機械学習、化学シミュレーション、電波天文学の画像処理、金融分析、バイオインフォマティクス、特殊な量子シミュレーターなどで、まずは様々な量子変分アルゴリズムが研究される。
なおPawseyは、「NVIDIA Grace Hopperプラットフォームが、オーストラリアの量子コミュニティーだけでなく、国際的なパートナーにも利用できるようにする」としている。
PawseyのエグゼクティブディレクターであるMark Stickells氏は、「Pawseyの研究およびテストベッド施設は、オーストラリア全土だけでなく、世界の科学的探求の発展に貢献している。NVIDIAのCUDA Quantumプラットフォームにより、我々の科学者たちは、量子コンピューティング研究の可能性を広げることができる」と述べている。
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