従来の金属探知センサは、強力な磁石などを近づけた前後でゼロ点がずれてしまう現象「オフセット」による信頼性の有無と、ノイズによる信号雑音比(S/N比)のレベルが課題だった。
例えば、手持ちでの探査では、対象物の近くで計測する必要があり、データ品質を維持するためにセンサの姿勢が大きく変わらないような工夫が必要であった。
また、ドローンに搭載する場合も、高度0.5m程度の低空飛行が推奨され、センサ自体の重量・サイズから大型ドローンにしか搭載できないという問題もあった。
そこで株式会社ワールドスキャンプロジェクト(以下、WSP)は、磁界の存在を検出し、磁場の強度と方向を測定するためのリモートセンサ「JIKAI」を開発した。
「JIKAI」は、重さ約1kgほどの小型ドローンにも搭載することが可能なリモートセンサだ。独自開発した検出技術が採用されており、姿勢変化が大きいドローンでも活用できる。
模擬試験では、磁化された直径20mm、長さ0.5mの鉄棒(500ポンド爆弾相当)を探索対象とし、従来製品では7mの検知距離だったところ、「JIKAI」は20m以上の検知距離を実現した。
検知距離の性能が向上したことにより、地表近くでの運用といった制約がなくなった。また、水深1000m以深の観測に成功しており、地球最深部調査への対応も可能とのことだ。
「JIKAI」の活用が見込まれる分野については、宇宙空間に存在する多数のアステロイド(小惑星)に含まれる貴重な資源の探査と採掘、いわゆる「アステロイドマイニング」が挙げられている。
また、地雷・機雷の探査や考古学探査において、特に海中の沈没船や埋没遺物の発見ソリューションとしても活用が期待される。さらには、産業用センシング、医療応用、宇宙航空用途、セキュリティなどにも活用が見込まれている。
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