これまで、大型海上クレーンの作業海域は、主に比較的静穏な港湾内だったが、今後は洋上風力発電などの外洋での作業が増えると予想されている。
港湾内より厳しい波浪条件での外洋工事は、船舶が作業できる日や時間が限られ、長い工期と高費用を必要とする。
こうした中、東洋建設株式会社は、株式会社三井造船昭島研究所および株式会社SKKと共同で、大型海上クレーンに対応した吊荷上下動低減装置「AHC-RMP」を開発した。
「AHC-RMP」は、船体の揺れを予測する「動揺予測システム」と、吊荷を上下させるウィンチを制御する「ウィンチ制御システム」の2つのシステムで構成されている。
「動揺予測システム」では、船体に設置した姿勢計測装置と加速度センサの計測結果をもとに、将来の動揺量を予測する。

その予測結果から吊ワイヤの巻出量を算出して、「ウィンチ制御システム」のクレーンPLC(Programmable Logic Controller)へ信号を送り、送られてきた信号をもとにクレーンPLCが揺れを相殺する方向へウィンチを回転させるようにトルクコンバータを制御し、吊荷の上下動を低減する仕組みだ。

「AHC-RMP」の開発により、吊荷重20~80tにおける吊荷上下動を、20~60%低減することが可能となったのだという。

今後は、実施工において精度検証を重ね、低減率の改善と吊荷重の適用範囲を拡大するとしている。
なお、「AHC-RMP」の開発は、国土交通省海事局の「2019年度 海洋資源開発関連技術高度化研究開発支援事業」の支援対策事業として採択されたものだ。
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