自動車走行時には、路面凹凸の刺激がタイヤを通して車両に伝わりロードノイズが発生するが、今後普及が予想されるEVではエンジン音が発生しないため、ロードノイズがより顕著になり、ロードノイズの低減が今まで以上に求められると予想されている。
こうした中、住友ゴム工業株式会社は、タイヤと車両の相互の振動によって発生する、ノイズの予測手法を新たに開発した。
この手法の開発には、走行中のタイヤを想定したタイヤ転動シミュレーションが活用されている。この技術を応用することで、タイヤメーカと車両メーカの双方で静粛性能の改善を図ることが可能だ。
具体的には、複雑なデータを分解して、それぞれの部分の動きを伝達関数として表現し、それらを組み合わせて全体の動きを予測する「伝達関数合成法」を用いて、タイヤのみ・車両のみのロードノイズ性能を結合させて、タイヤと車両が連成するロードノイズ性能を簡便に予測する。
この手法を活用することで、実験では評価することが困難なタイヤ転動状態でのタイヤ軸フリー転動振動特性(下図B)を、シミュレーションで評価することが可能となった。

また、このタイヤ軸フリー転動振動特性を、タイヤ静止状態と転動状態で比較した場合、物体が回転する際に姿勢を乱されにくくなるジャイロ効果などにより、振動特性の違いが出ることが確認でき、伝達関数合成法を転動状態で行うことの有効性が確認された。
なお、この研究内容は、2023年自動車技術会秋季講演会にて「伝達関数合成法によるタイヤ-サスペンション連成軸力予測手法の開発」として発表された。
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