芝浦工業大学工学部・李ひよん准教授(光波センシング研究室)らの研究チームは、ひずみ(伸び)や温度の分布情報を得るための光ファイバーセンサにおいて、装置を追加することなく光源の変調振幅を見積もり、どの程度の細かい分布測定を行えるかを示す性能指標「空間分解能」※2を正確に推定する新手法を開発した。
光ファイバー中で生じるブリルアン散乱を利用した分布センシング方式「ブリルアン光相関領域反射計」(以下、BOCDR)では、空間分解能を把握するために光源の変調振幅の測定が必要だった。
これまでは高価な装置が必要であったが、今回、レイリー散乱を併用することで追加装置やシステムの変更を不要にし、変調振幅の見積もりと空間分解能の正確な推定を実現した。
研究チームでは、BOCDRにおいて、光が波長よりも小さな微粒子によって散乱される「レイリー散乱」を併用し、変調振幅を、ひいては、空間分解能を間接的に正確に推定する手法を提案した。
この手法では、レイリー散乱によって誘起されるノイズのスペクトル幅を分析し、光源の変調振幅を従来よりも正確に見積もる。BOCDRに対して、追加の装置やシステムの変更を必要としないのが特長だ。
この技術の活用により、老朽化したり地震などの被害を受けたインフラ施設の監視が効率的に行えることが期待される。
また、空間分解能を正確に推定するための同手法は、装置の追加やシステムの変更を伴わないため、今後、BOCDRの普遍的な技術になることが期待されている。
なお、この研究成果は「Scientific Reports」誌に掲載されている。
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