内田洋行ビジネスITフェア2024

東北大学、小鳥が注意を向けている対象を客観的に判断し可視化する行動解析システムを開発

一般に、小鳥と呼ばれる鳴禽類(スズメ亜目)は、音声や動作を用いて仲間とコミュニケーションを取るが、彼らがどのように他の個体を認識し、注意を向けるのかを客観的に観察するのは困難であった。

一方、鳴禽類に属する鳥の仲間の眼球には、サルと同様に網膜上に視覚が最も鋭敏な部分「中心窩(ちゅうしんか)」が1つ存在し、注視する対象物を主に中心窩で捉えて観察する。

鳥類は、頭を動かさずに眼球を回転できるサルの仲間と異なり眼球自体の可動域が小さいため、頭の向きを変えて注視物をとらえている。このため、頭の角度を測定することで小鳥が何を観察しているのか客観的に判断することができる。

そこで、東北大学大学院生命科学研究科の藤林瑞季博士前期課程大学院生と安部健太郎教授は、小鳥の動きと注意を高精度に解析し、小鳥の注意視線を可視化できる行動解析システムを新たに開発した。

今回新たに開発された行動解析システムは、小鳥の頭部にプラスチック製の軽量マーカを設置し、その動きを高精度に追う、マーカ付きモーションキャプチャーシステムだ。小鳥の頭部にマーカを2つ前後に並べて配置することで、上部より撮影した動画の解析から、特に頭の角度を高精度に測定することができるようになった。

東北大学、小鳥が注意を向けている対象を客観的に判断し可視化する行動解析システムを開発
行動解析システムのイメージ図

今回、この行動解析システムを使用し、鳴禽類の一種、キンカチョウの行動を解析した。

その結果、行動解析システムを使用することで、複数個体の相互作用が高精度に解析できることが確認され、キンカチョウは対象を視認する際には、片方の目で捉え、対象によって左右の視野の使い方を変えるという、これまで観察されている事象を確認した。

また、オスのキンカチョウに対し同種のオス個体とメス個体を提示した際の、左右の視野の使い分けを解析し、メスに対しては右目、オスに対しては左目で視認することが観察された。

東北大学、小鳥が注意を向けている対象を客観的に判断し可視化する行動解析システムを開発
行動解析システムを使用した視線解析実験のイメージ図

さらに、液晶モニタ上の人工的な映像の提示に対し、キンカチョウがどのように行動するのかを高精度に解析することで、モニタ上の映像から仲間の個体識別ができるこや、学習に応じて行動が変化することを明らかにした。

今後は、このシステムを用いて小鳥がどのようにコミュニケーションシグナルを認識しているのかを明らかにすることを通じ、音声・非音声コミュニケーション能力の脳内機構の詳細の解明に貢献することが期待されている。

なお、この研究成果は、2024年9月4日に「Cell Reports Methods誌(電子版)」に掲載されたとのことだ。

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