ソニーセミコンダクタソリューションズ株式会社(以下、SSS)は、5.1µm画素(約5,000ppi)と最大10,000cd/m2の輝度を両立した、0.44型のフルHD解像度のOLEDマイクロディスプレイ「ECX350F」を商品化すると発表した。
この製品は、ARグラスにおいて求められる薄型化・軽量化や高視認性を実現するためのもので、新設計のOLED構造とマイクロレンズを採用している。
OLEDマイクロディスプレイは、画素を小さくすると発光効率が下がり、画素あたりに流せる電流に制約がかかってしまうため、これまでは高輝度化が難しかった。
そこで、新製品では、5.1µm画素とその画素サイズでの発光効率を最大化するマイクロレンズを製造するための半導体プロセスを新たに開発した。さらに、独自設計のOLED構造を採用することで、小画素化と高輝度の両立を可能にした。
これにより、小型の0.44型でフルHD解像度を実現し、従来製品と比較し約2倍の最大10,000cd/㎡の輝度を可能にした。
また、映像表示領域の周囲の非映像表示領域(額縁)は、駆動に必要な回路や配線が実装されているが、従来技術では、ディスプレイデバイスとしての信頼性や、回路部分の配線幅の要求から画面表示不良といった問題が懸念され、狭額縁化は困難であった。
そこで新製品では、新たな回路設計と組立工程を導入し、ディスプレイ長辺の額縁を上下でそれぞれ1.14mmまで小型化した。
画素の小型化とディスプレイの狭額縁化により、フルHDの画素数を維持しつつ、従来製品と比較し24%減の短辺サイズ7.99mmを実現した。
さらに、フルHD以下の任意解像度の映像入力を受信した場合、デバイスの表示領域内の任意の位置に映像を表示する「可変黒枠機能」を搭載した。
一般的にARグラスでは、黒表示部分で実空間が透過して視認されるため、表示映像と実空間を重ねた表示が可能だ。この機能は、従来製品では前段の処理側(アプリケーションプロセッサ)で黒表示部分の映像信号を生成し入力することで実現していたが、新製品ではこれを製品内で行うことで、任意の解像度による表示を容易にし、システムとしての低消費電力と低遅延に貢献する。
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