三菱電機株式会社は、工場やビル、データセンタなどに設置される受配電設備の遠隔監視とデータ活用による保守業務効率化の実現に向けた「受配電設備向けスマート保安」の社内実証を、2024年10月1日から開始する。
この社内実証では、受配電システム製作所にて、カメラと複合センサを活用して受配電設備の遠隔監視を行い、取得したデータを活用することで、保守業務効率化を目指す。
従来、人手で実施していた法定点検や自主点検業務をオンラインで見える化し、センサから得られたデータを活用して、内在化している異常兆候を抽出・早期除去することで、電気設備の安全かつ安定的な操業の実現可能性を検証する。
具体的には、受配電盤内に設置したカメラで盤内の状態を撮影するとともに、温湿度センサや塵埃センサで盤内の温度や湿度、汚損量を遠隔で常時監視する。
そして、カメラや各種センサなどから取得したデータをSCADAで収集、解析し、それらをオンラインで画面表示することで見える化し、従来人手で実施していた法定点検や自主点検業務の効率化を検証する。
また、三菱電機が保有する劣化診断技術と得られたデータを組み合わせて、電気設備の余寿命を診断し、対象機器の劣化速度を分析することで、メンテナンスや更新を最適化するといった実現可能性も検証する。
なお、電気設備の余寿命診断は、温度や湿度のほか、ガス、塵埃、音、変異などのさまざまなセンサから得られたデータに対して、三菱電機が持つ「MT法による劣化診断技術」などを応用することで実現している。
異常の例としては、電気設備の外部の相対湿度が100%に近い場合などは電気設備内で結露が発生する可能性が増加する問題に対し、センサで電気設備内外の温度や湿度を測定。絶対湿度を常時監視することで、結露が発生する可能性が高い状態を判断し、発生前に異常として通知する。通知を受け、電気設備内のヒータや除湿器を動作させるなどの対策を施すことで、結露の発生を未然に防止するといったことだ。
今後は、今回の社内実証で得られる成果を活用し、需要家を対象とした「受配電設備向けスマート保安」のサービスを、2025年4月に提供開始予定だ。
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