近年、現実世界をデジタルデータとして収集し、バーチャル上に表現するデジタルツインの活用が注目されているが、デジタルツインを実現するためには、人、物品、設備など、現実世界を構成するあらゆるモノをデータとして収集し、それらの位置と時間の関係を正確に把握する必要がある。
従来は、サービスの目的ごとにデータを個別に収集していたため、「データが限定的で汎用性がない」「注目したモノ以外のデータにおいて位置と時間の関係が分からない」といった課題があった。また、膨大なデータが使いやすい形で管理されていないことが多く、データの管理、活用に手間や時間がかかっていた。
こうした中、三菱電機株式会社は、現実世界の空間と時間をデータとしてバーチャル上に再現する、時空間データ基盤「GeoCLOVERTM(ジオクローバー)」の基礎技術を開発した。
今回、三菱電機の大規模空間計測技術や設備・土木構造物の経年変化を検出する技術、デジタルツインの構築技術を活用し、現実世界を構成するあらゆるモノの位置と時間を表す「時空間データ」を収集・統合・管理・活用する時空間データ基盤「GeoCLOVER」の基礎技術を開発した。
この基礎技術は、「ビルや工場など建屋内の空間を正確に計測する技術」「位置や時間が異なる3次元空間データを繋ぎ合わせる技術」「膨大な3次元空間データの時系列を効率的に管理する技術」「3次元空間データから物体を認識する技術」で構成されている。
これにより、現実世界のデータを3次元空間に時系列で蓄積・更新できるため、モノの位置と時間を表す「時空間データ」の収集から活用までが可能だ。
例えば「GeoCLOVER」に蓄積するデータと、ユーザが保有する機器のデータを融合し、シミュレーションやAI技術と組み合わせることで、オフィスビルの快適性向上、都市空間の賑わい創出など、新たなソリューションの提供が期待されている。
今後は、「GeoCLOVER」を構成する4つの要素である「収集」「統合」「管理」「活用」の技術開発をさらに進め、2026年に完成予定だ。
なお、今回の成果の一部は、2024年10月15日~10月18日に幕張メッセで開催される「CEATEC 2024」に出展される。「CEATEC 2024」では、「GeoCLOVER」として開発した3次元空間を再現する技術や物体を認識する技術の紹介の他、時空間データに基づいて、現実世界を模したジオラマとバーチャルを繋ぎ、空間の快適性を評価する技術を活用して空間をデザインする体験が可能とのことだ。
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