三井物産株式会社は、Quantinuum、日本電気株式会社(以下、NEC)と共同で、量子技術を利用したトークン(以下、量子トークン)の実証実験に成功した。
三井物産とQuantinuumは、Quantinuumが基本特許を有する、量子物理学の特性を活用した複製不可能な量子トークンの実用化にこれまで取り組んできた。
量子トークンは理論的にはその原理は証明されていたが、今回、NECが提供する量子暗号通信(※)用の装置と10kmの光ファイバを利用し、商用化を想定した環境の上で量子トークンの発行と償還を行う実証実験を実施した。
その結果、理論上予測されていた通りにトークンの発行と償還が可能であることが確認された。
※量子暗号通信:現在用いられているRSA暗号などの暗号化方式は将来量子コンピュータにより解読されるリスクが指摘されており、この対策として盗聴が物理法則的に不可能な量子の性質を利用した通信方式の開発が各社により進められてる。量子暗号通信はこの量子の性質を利用して暗号化する通信方式。
量子トークンは従来の通信技術を利用したトークンと比べ、複製が不可能で、即時に償還が可能という特徴があり、高速取引やコモディティトレーティングなどの金融分野を中心に、データ復旧や認証など様々な用途への展開が可能だ。
また、今回の実証実験に利用した量子暗号通信は、量子コンピュータによる解読が不可能な通信方式として今後インフラの整備が期待されており、量子トークンはこれらのインフラ上での利用が可能となる。
三井物産は、今回の成果を通じて、今後金融やヘルスケアといった、高いセキュリティが求められる分野を中心に具体的な用途を開拓し、5年以内を目途に事業化を推進するとしている。
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